新型コロナウイルス感染症の患者数が増加傾向を示す中、大きな影響を受けてきた飲食業が、さらに厳しい状況にさらされている。倒産件数が9カ月ぶりに増加し、業界再編の動きが垣間見られる。
飲食業界の「コロナ破綻」が勢いを増してきた。11月22日時点で新型コロナ関連による負債1000万円以上の経営破綻件数が全国で累計4530件に達した。このうち最多は飲食業で711件と全体の15.7%。飲食店の大量倒産時代が目前に迫っている。
今年8月までのパチンコホールの倒産が20件に達し、昨年1年間の倒産を超えた。9月も4件の破たんが判明し、2014年(32件)以来、8年ぶりに30件台に達する可能性が出てきた。
今年初となるゴルフ場の倒産が発生した。東京商工リサーチ(大型倒産=原則負債総額30億円以上と、注目企業の倒産情報)によると、秋葉ゴルフ倶楽部(愛知県新城市)と関連5社は2022年8月9日に、東京地裁に民事再生法の適用を申請した。
帝国データバンクが、物価高が原因の倒産件数を調べたところ、2022年1-7月は116 件に達しており、調査を始めた2018年から、2021年までの4年間の年平均の110件(累計は442件)を上回ったことが分かった。
語学関連の老舗出版社の第三書房は6月30日、事業を停止し、破産申請を渡邉敦子弁護士に一任した。負債総額は1億3269万円(2021年11月期決算時点)。
新電力事業者のFTエナジーは7月1日、東京地裁より破産開始決定を受けた。負債は現在調査中。新電力の倒産は今年に入ってISエナジーに次いで5社目となる。
コロナ禍も一息つき、政府が「Go To トラベル」の再開に動き出したり、ANAが羽田発着の国内線減便措置を7月に全面停止すると発表したりと、「脱コロナ」に向けた動きが加速している。それにもかかわらず、コロナ関連の倒産が急増している。なぜか?
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大に伴う経営破綻が、じわりと加速している。東京商工リサーチの調べによると、負債額1000万円超のコロナ関連破綻が今年に入って4月18日までに576件あった。通年では2000件に迫るハイペースだ。
2021年度(2021年4月〜2022年3月)も終わりに近づいてきた。今年度は念願のワクチン接種が始まったもののコロナ禍は収束せず、原材料や資源価格の高騰、円安と逆風が吹き荒れた。そこで今年度の注目すべき業界の企業倒産を振り返ってみよう。