「このペンを売れ」とジョーダンからペンを差し出されたドラッグの売人ブラッド。普通ならばそのペンのセールスポイントをアピールするのだろうが、「そのナプキンに名前を書け」とジョーダンに言い放つ。しかし、ジョーダンはペンを持ち合わせていない。すると「需要と供給だ」とブラッド。ジョーダンはブラッドのペンを買うしかないのだ。必要性を作り、買わなければならないと相手に思わせる。需要と供給をマッチさせることがセールス術の基本の一つであると改めて気づかされるワンシーンだ。
巧みな話術でウォール街のカリスマへと成り上がっていくジョーダン。金、女、セックス、ドラックと、欲と快楽にまみれた人生は、真実とはいいがたいほどだ。かなり誇張して脚色されているのかと思いきや、ほぼ事実だというからすごい。妻の名前をつけた豪華クルーザーを無理やり出航させて沈没したのも、難破で命の危険にさらされながらもドラッグを取りに行かせたのも真実。1万ドルと引き換えに女性社員の頭を丸刈りにしたのも真実。他にもハチャメチャな真実があるので、回想録やインタビュー動画などと照らし合わせてみるのも面白い。ちなみに、映画の最後、講演会らしきシーンでジョーダン・ベルフォート本人がカメオ出演している。自分のことを自ら「最高の悪党」と紹介するブラックユーモアたっぷりのシーンも見ものだ。
文:M&A Online編集部