「青天のへきれき感」はなくなった。今後は?

――M&Aに対して市場評価の変化はありますか。

 TOBなどが行われると被買収企業は基本的に企業価値が向上すると評価されますが、それを測定するために使用するのが、累積異常収益率(CAR:Cumulative Abnormal Return)という指標です。
 日本では03年頃まで、CARはあまり高くありませんでした。被買収企業に発生する株価の効果はあまり大きくならず、買収時にプレミアムもさほどのせられなかったですし、M&A実施のアナウンスメントに対するマーケットのポジティブな反応も少なかった。

 それが05年頃から変化していきます。プレミアムが付くようになり、被買収企業のCARもポジティブになっていきます。世界水準をやや下回るものの、平均すると10~15%程度ではないでしょうか。

――M&Aに対する意識は変わりましたか?

 新興企業は別として、合併に対するハードルは依然として高いと言えます。一方、個々の企業の独立性が維持される買収に対する意識のハードルは下がってきていると思います。
従業員にとっても、99年以前にあった、自社が買収される際の「青天のへきれき」という意識は薄らいできているのではないでしょうか。

――日本のM&Aの状況は今後どのようになると思われますか?

 14年の国内のM&A規模は、約12兆円といいますから、対GDP比で約2%に過ぎません。国際的な数値と比較するといぜん低い水準にあり、日本ではいまだにM&Aが持つポテンシャルを使い切れていないとも言えます。

 他方で、経営の内部環境としては、00年代を通して、負債圧縮が進み、企業の過半数は事実上の無借金経営をしているという状況になっています。その結果、企業の内部資金が潤沢になり、M&Aの際の負債調達能力も上昇しています。また、株価の上昇で、株式交換によるM&Aの現実的選択しとなっています。資金面ではM&Aを実行しやすい状況にあると言えます。ですから今後も、緩やかながらもM&Aの活性化は続くと私は見ています。

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取材・文:M&A Online編集部