もちろんこれは、20~30代の方々が経営者に向いていない、ということではありません。実際、大学院を卒業してすぐにカルチャーの合う企業で社長になられる方もいますし、20代でいくつも会社を経営し成功させた方もいます。
しかし私は、意識が高い20代の方々にはもう一つのキャリアパスとして、中小企業のCOOやCFOとして経営に入ることを推奨しています。会計、マーケティング、IT等、自身の強みは存分に活かしつつ、社長のもとでビジネスや、業界知識、組織マネジメントを学ぶことで、中小企業の経営者として必要なスキルを早期に身につけることができるのです。
長いキャリアの中で、自分にとっての理想的な経営者像を実現するためには、キャリアの最初から会社の長となる選択肢をとるのではなく、社長の下で一定期間学ぶという経験を得た上で、事業を承継して社長を目指すキャリアもあります。サーチファンドスタディによると、COOやCFOのようなパートナーと共に事業を承継する事例が1/4を占めており、単独ではなくグループで事業が受け継がれていく事例が日本でも増えていくでしょう。
人口減少が加速する中で、日本が今後GDPを維持し伸ばすためには、より少ない人員でより多くの価値を生む必要があります。こうした点を事業承継問題と照らし合わせて考えた場合、国としても多くの優秀な経営者を創出し、今までその選択肢がなかったような方々にも経営者としてのキャリアを目指すことができる環境作りが必要ではないでしょうか。私達はその環境を創出したいと考えているのです。
文:竹内智洋Growthix Investment代表取締役