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「Tモバイル」と「スプリント」の合併ストラクチャー
4月30日、ソフトバンクグループは米子会社のスプリントとドイツテレコム傘下の米子会社Tモバイルによる合併合意を発表。ソフトバンクのSprintへの所有割合が83%から27%へ低下し、連結対象から外れる。合併ストラクチャーを解説する。
通常の取得の場合、それぞれの当事者の会計処理は、以下の通りとなります。
被取得企業の取得対価を交付した株式の時価で評価します。新株を発行した場合は上場会社の場合は市場株価に基づき、非上場会社の場合は公認会計士等の専門家に依頼して算定した公正価値で評価します。自己株式を発行した場合は自己株式の適正な簿価で評価します。
被取得会社が保有するすべての資産・負債を時価に評価替えします。
日本ではあまり例がありませんが、市場価格のある社債を発行している場合や、割引債を発行している場合などは、負債も市場金利に基づいて公正価値に評価替えを行うこととなります。
この時、顧客リスト、通常の市場取引に比べて有利な契約、商標権等の被取得会社が貸借対照表に認識していない無形資産も公正価値を評価して資産計上します。
まず、1.で算定した取得対価相当額を資本金・資本剰余金に計上します。自己株式の交付がある場合は、増加させる資本金・資本剰余金の額から自己株式の適正な簿価を控除します。
次に、被取得会社の資産・負債の時価をそれぞれ借方・貸方に計上します。
最後に、貸借差額をのれんまたは負ののれんに計上します。
被取得企業は合併により消滅しますので、合併の前日を最終日として決算を行います。この時、貸借対照表上の資産・負債は、時価評価せず、適正な簿価で処理します。
取得会社の株主は取引当事者ではないため、原則として特に会計処理を行いません。ただし、合併により著しい持ち分変動が生じ、子会社株式または関連会社株式がその他有価証券となる場合については、時価の洗い替えを行い、合併損益を認識します。
被取得会社の株主は、株式交換の場合と同様に、投資の継続性を判定し、投資が継続していると認められた場合は従来の簿価を引き継ぐため仕訳なし、投資が清算されたと認められた場合は交付された取得企業の株式の時価に洗い替え、合併損益を認識します。
投資の継続・清算の判定方法は株式交換の場合と共通ですので、株式交換の記事(記事はこちら)をご参照ください。
4月30日、ソフトバンクグループは米子会社のスプリントとドイツテレコム傘下の米子会社Tモバイルによる合併合意を発表。ソフトバンクのSprintへの所有割合が83%から27%へ低下し、連結対象から外れる。合併ストラクチャーを解説する。