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【M&A仕訳】合併の会計処理

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通常取得の合併仕訳

それでは設例でそれぞれの当事者の仕訳を見ていきましょう。

(設例3)
・上場会社のE社は非上場会社のF社を吸収合併した。取得会社はE社と判定された。
・E社がF社に交付した株式数は2百万株、E社の合併時の市場株価は一株700円であった。
・E社は合併時に1百万株の自己株式を有していたので、そのすべてをF社株主への交付に使用し、残り1百万株を新たに発行した。
・E社の自己株式の適正な簿価は400百万円であった。
・交付した株式の時価総額から自己株式の簿価を控除した残額は資本金と資本剰余金に半額ずつ計上するものとする。
・E社の筆頭株主は投資ファンドで、持ち株比率は8%である。
・F社の合併時の資産負債の公正価値は、次の通りであった。


「F社はG社の完全子会社であった。合併後、G社が取得したE社株式はE社の5%相当となったため、G社においてその他有価証券として処理されることとなった。G社が計上していたF社株式の簿価総額は1,100百万円であった。」

1.取得企業E社の仕訳

F社の資産・負債を時価で受け入れます。

交付した株式の時価総額2百万円*700円/株=1,400百万円から交付した自己株式の適正な簿価400百万円を控除した1,000百万円の半額ずつを「資本金」及び「資本剰余金」に計上します。この結果、借方に差額が1,015百万円発生するので、のれんを計上します。


2.被取得企業F社の仕訳

 F社は合併の前日を最終営業日として通常の決算を行い、最終の財務諸表を作成します。この時の貸借対照表は適正な簿価で作成されます。

(仕訳省略)


3.取得企業E社の株主の仕訳

E社の筆頭株主の持ち株比率は8%にとどまるため、合併の前後の持ち分変動により「子会社株式・関連会社株式」が「その他有価証券」に変化する株主は存在しません。よって、E社の株主で合併差損益の認識を要する株主は存在しません。

 (仕訳不要)


4.被取得企業F社の株主(G社)の仕訳

 F社の株主であったG社はF社株式を子会社株式として計上していましたが、合併により交付されたE社株式は5%にとどまりますので、合併後は「その他有価証券」となります。

よって投資は清算されたと判定されますので、交付を受けたE社株式の時価総額1,400百万円に簿価を洗い替えることとなり、従来の簿価1,100百万円との差額300百万円が合併差益として計上されることとなります。 

 

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