これに対して、アクティビストは少数の会社に集中投資するため、投資先の企業を研究することができます。アクティビストは特定の上場会社の事業環境や経営戦略を徹底的に調査し、その結果に基づいて株式を買い付けます。彼らは優秀な人材を抱えており、場合によっては業界に詳しい元経営者をヘッドハンティングしています。
従って、これらのアクティビストの提案は、短期的な利益を得るために自分勝手な無理難題を会社に押し付けるようなものではありません。アクティビストが提案する経営方針の変更は、プロが徹底的に調べ上げた結果に基づいているので、
会社の経営者にとっても容易に反対できない戦略であることが多いようです。
田村教授によると、アクティビストは1000億円ぐらいを1社に投資するようなことをして、物言う株主として経営方針の変更を迫るとのことです。しかし、米国の時価総額が大きい大会社の場合、アクティビストが1000億円出資したとしても、持株比率が1%に満たないことがあります。例えば、時価総額が100兆円を超えるアップルの株式を1000億円分買ったとしても、0.1%しか取得できません。
それでは株主権を行使して経営方針を変更させることはできません。多くの株式を所有している機関投資家の賛同がないと、経営を変えることはできません。
ここで、アクティビストの提案が非常に筋の通るものだったらどうでしょうか。機関投資家としても「渡りに船」の状況になります。
前述のとおり機関投資家には、特定の会社について詳しく調べる人材もお金もありません。アクティビストが丹念に調べ上げた結果に基づき、経営方針の変更をすれば企業価値が上がるというのであれば、その提案に乗らない手はありません。