ところが、その拡大戦略も大きな試練を迎えた時期があった。2009年12月に出版された『小説・火ノ国銀行』(中村仁著、如月出版)の発行に端を発した事件である。
その本の紹介には「工務店を経営する宮本一志は40年もの間、火ノ国銀行とだけ取引してきたが、長引く不況で負債が増え業績が悪化。一方、銀行内では頭取以上の実力を持つ常任顧問の長門裕造が娘婿で融資部長の梶光男を頭取にしようと世襲を画策する。さらに長門は宮本の会社に目をつけ乗っ取りを企む。やがて長門は宮本の会社への融資を停止...
“ご当地銀行”の合従連衡史の7回目は秋田県。秋田では、2つの地方銀行がしのぎを削っている。明治期に設立された国立銀行の流れをくむ秋田銀行と、同じく明治期に秋田・横手地方に設立された私立銀行である増田銀行の流れをくむ北都銀行である。