VCが受託ビジネスを評価しない理由

M&A Onlineの読者であればご存知の方も多いでしょうが、これはファイナンスの問題です。ベンチャーキャピタル(VC)が、スタートアップに対して基本的に受託ビジネスを勧めないのは、キャッシュフローサイクルが関係しています。

どういう意味でしょうか。下図の「CJM各象限のキャッシュフローサイクル」で説明してみたいと思います。

この図は、各象限のビジネスモデルにおける標準的なキャッシュフローのサイクル(投資→回収のサイクル※売掛金の回転期間ではありません)を表しています。

図2. CJM各象限のキャッシュフローサイクル

CJM各象限のキャッシュフローサイクル
筆者作成

受託型のビジネスでも巨額のシステム開発などは、全額の入金が完了するまでに何年もかかる案件もあるでしょう。しかし、多くの場合は開発進捗に応じた売上の計上と回収になるでしょうし、一般的な受託ビジネスのキャッシュフローサイクルは、長くても1年以内と考えてよいでしょう。象限1のTier2では、基本的にTier1よりさらにキャッシュフローサイクルは短くなるはずです。

一方で、象限3のプロダクト/サービス ビジネスのキャッシュフローサイクルについては、開発に1年以上かかることはざらでしょう。そこからさらにプロダクトマーケットフィット(PMFといいます)の達成、成長の実現、収益化の実現、といったフェーズまでにはとても長い時間がかかります。(これを乗り越えるか乗り越えられないかは、このコラムのもう一つの重要テーマである「死の谷」の問題です。詳しくは次回テーマで扱います。)

「受託の罠」を避けつつ、「死の谷」にはまらないビジネスモデルとはどのようなものでしょうか。