コロナ禍による業績悪化で昨年来、産業界では希望退職者を募る動きが広がりを見せている。こうした人員削減策とは別に「一時帰休」で対応する企業も少なくない。ただ、一時帰休といっても、あまり耳慣れない。一体、どんなものなのだろうか?
希望(早期)退職者募集の動きがこのところ鈍化している。4~6月期に募集を発表した上場企業は5社にとどまり、前年同期(20社)の4分の1に減少し、1~3月(21社)比でもほぼ同様の結果となった。新型コロナウイルス感染の影響が長期化する中、人員合理化の流れが一巡したとの見方も出ている。
ラーメン店「幸楽苑」を展開する幸楽苑ホールディングスが希望退職者の募集に踏み切った。コロナ禍で昨年は夏と冬のボーナス支給を見送るなど、雇用維持を最優先に従業員に我慢を強いてきたが、ついに雇用に手を付けたことで、苦境が改めて浮き彫りとなった。
4月に希望(早期)退職者の募集を発表した上場企業は1社だった。月間1社にとどまるのは昨年4月以来1年ぶりだが、希望退職者募集の動きは途絶えず、32カ月連続となった。
三陽商会の2021年2月期(連結)最終利益が49億8800万円と5期連続の最終赤字だった。21年2月期はコスト削減や銀座の不動産を売却したが、新型コロナの影響が重く、希望退職者募集による特別損失の計上も響いた。
長引く新型コロナウイルスの影響で、上場企業でも雇用情勢は厳しさを増すばかりだ。製造業をはじめ、飲食、アパレルなど各社が早期退職や希望退職を募り、なかには想定を上回る応募となった企業も多い。今週は希望退職・早期退職を募ったニュースを振り返る。
東京スポーツ新聞社が100人規模の早期希望退職を募ることが明らかになった。約350人いる社員のうち3分の1近くを削減する。だが厳しいのは同社だけではない。「活字離れ」や「ネットニュースの台頭」で、多くの新聞社がリストラを余儀なくされている。
2021年1~3月に希望(早期)退職者の募集を発表した上場企業は21社を数え、前年同期比4割増となった。ほとんどが新型コロナの影響拡大による業績悪化を理由とする。募集規模100人以上は7社で、3社に1社を占める。JTの1150人を筆頭に、名村造船所の250人が続く。
希望退職者の募集結果についての発表が連日続いている。今年に入って2カ月余りだが、その数は上場企業だけですでに20社近い。応募者が最多だったのは旅行大手の近畿日本ツーリストなどを傘下に持つKNT-CTホールディングスの1376人で、LIXILの965人、オリンパスの844人などが次ぐ。
上場企業による希望退職者の募集が今年に入り、早くも10社を突破した。9日だけでJT、日本金銭機械、ポプラ、ライトオンの4社が計画を発表し、年明けから13社に上る。前年は2月末までの2カ月で11件だったが、これを上回るハイペースだ。