猪浦道夫の英単語の氏素性 M&A(エムアンドエー)の語源と派生語

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Acquisition の語源と派生語

さて、acquisition の方ですが、これは普通に「取得、獲得」ということで、企業についても別に難しい解釈を必要としません。この言葉は acquire (獲得する)という動詞の名詞形ですが、名詞としては acquirement の方がよく知られているかもしれません。こちらもほぼ同じ「取得、獲得」という意味ですが、主に学問的、精神的なものを対象にしたときに使われます。それでも、「言語の習得」というときには acquisition の方を使いますが。形容詞 acquisitive (取得しようとする)もよく見かけます。

さて、この acquire という動詞は、ラテン語の前置詞ad·にquire(求める)という動詞がついたのですが、この元の動詞は英語でqueryという語になって伝わっています。動詞としても名詞としても用いられ、それぞれ「尋ねる」「質問」といった意味ですが、その形容詞  querulous は「不満の多い」という意味で、quarrel (けんか、口論)という語を生みました。quarrelsome (けんか好きの)という形容詞もよく使うので一緒に覚えておきましょう。

そしてもう気づいたでしょうが、もちろん question (質問)も同じファミリーの言葉で、その基になっている動詞または名詞 quest (探求、探す)と派生した形容詞 questionable (問題の、不審な)とともに確認しておきましょう。

この quire に「中へ」の意味の接頭辞in·がついて inquire (聞く、尋ねる)とその名詞形 inquiry(探究、調査)、形容詞の inquisitive (詮索好きの)が派生します。「公の調査、尋問」を意味する inquisition という名詞も並存します。また inquiry には enquiry という綴りも見られますが、inquiry が比較的詳しい調査などを意味するのに対し、enquiry の方は簡単な問い合わせに使うことが多いようです。

「再度」を意味するre·という接頭辞がついた require (必要とする、要求する)は多くの重要な語を生み出しています。3つの名詞 request (依頼、要望)、requirement (必要条件、必需品)、requisition (要求)はそれなりによく使う語ですし、形容詞 requisite (必須の、不可欠の)も重要なボキャプラリーです。

また、「ともに」を意味する接頭辞con·も quere と接合しました。そこから conquer (征服する)とその名詞形 conquest (征服)という語になっています。

ひとつ忘れるところでしたが、おいしいものを食べたときによく言う exquisite という語は「十分に探し求められた」から「絶妙な」となり、「非常に見事な、完璧な」といった意味に変化したものです。

文:猪浦道夫・天宮徹也(共同執筆)/編集:M&A Online編集部

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