(4)例外:共通支配下の取引

親子会社間の取引、兄弟会社(共通の親会社を持つ子会社同士)間の取引など、頂点に立つ株主が共通する会社同士の取引を「共通支配下の取引」といいます。

親会社と子会社が株式移転を行う場合、新会社の仕訳は以下のようになります。

(4-1)旧親会社株式の取得の会計処理

取得企業株式の処理と同様、株主資本の適正な簿価で計上します。

(4-2)旧子会社株式の取得の会計処理

100%子会社の場合、旧親会社株式同様、株主資本の適正な簿価で計上します。

100%子会社でない場合は、旧親会社保有分については、株主資本の適正な簿価に旧親会社持ち分比率を乗じた金額で計上します。他の株主の保有分については、被取得企業株式と同様に会計処理します。

(設例3)

・G社は上場準備中の非上場会社である。
・G社は自ら事業を営むほか、許認可を必要とする隣接分野の事業を営むH社を90%子会社としている。残りの10%はG社がH社をM&Aで取得した際に技術顧問として継続関与することとなったH社の創業者J氏で、G社およびG社株主とJ氏の間には資本関係はなく、両者を一体としてみるべき内容の契約や利害関係の状況もないと認められている。
・G社は、アドバイザーの指導により、ホールディングス体制に移行するため、G社・H社で新設するI社への株式移転を行うこととした。
株式移転時におけるG社の株主資本の適正な簿価は5,000百万円、公認会計士に依頼して算定したG社の株主価値の時価は6,000百万円、G社の発行済み株式数1百万株、H社の株主資本の適正な簿価は3,000百万円、公認会計士に依頼して算定したH社の株主価値の時価は4,000百万円、H社の発行済株式総数2百万株であった。
・交換されるI社株式数は、G社株一株に対して3株、H社株1株に対して1株であった。

(設例3 I社の処理の会計処理)

・G社株式はG社の適正な簿価で計上しますので、5,000百万円となります。
・H社株式は、G社持ち分については株主資本の適正な簿価3,000百万円に持ち分比率90%を乗じた2,700百万円となります。
・J氏の持ち分については、以下の計算によります。
 まず、H社株式に割り当てられるI社株式は2百万株*1株=2百万株です。そのうちJ氏が取得するのはその10%の200千株です。
 次に、G社株式に割り当てられるI社株式は1百万株*3株=3百万株です。
 よってI社の発行済み株式総数は5百万株となり、J氏が取得するI社の議決権比率は200千株/(5,000千株)=4%となります。
・この議決権比率を獲得するための株数200千株をG社株式数に換算すると、比率は1:3ですので、3分の1の67千株に相当します。よって、J氏取得分のH社株式の価値は、G社株67千株相当になりますので、D社の株主価値時価総額6,000百万円/発行済み株式総数1百万株*67千株=400百万円となります。

以上の結果、仕訳は以下の通りとなります。

(借方)    子会社株式
(G社分)
5,000百万円
(貸方)資本金 4,050百万円
子会社株式
(H社分のG社保有部分)
2,700百万円
資本剰余金 4,050百万円
子会社株式
(H社分のJ氏保有部分)
400百万円


以上が株式移転の仕訳となります。(次回「合併のM&A仕訳」に続きます)

文:岡 咲(公認会計士)/編集:M&A Online編集部

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