株式移転における各当事者の会計処理

取得企業の判定ができたら、それぞれの当事者ごとに会計処理が行われます。

株式移転の場合、登場人物は次の5通りです。

1.新設会社
2.取得企業
3.被取得企業
4.取得企業の株主
5.被取得企業の株主

(1)新設会社の会計処理

新設会社は、新株を発行して資本金・資本剰余金を増加させること、子会社株式を取得することを会計処理します。

この時、取得企業の株式については、取得の前日の取得企業の株主資本の適正な簿価により評価します。被取得企業の株式については、被取得企業の株主が新設会社に対して保有する議決権比率と同じ比率を保有するのに必要な数の取得企業の株式を取得企業が交付したものとみなして算定します。

(設例2)

・上場会社D社および上場会社E社は株式移転による経営統合を行い、F社の完全子会社となった。D社およびE社はそれぞれ上場を廃止しF社が上場を引き継ぐこととなった。
・取得の判定の結果、取得企業はD社と判定された。
株式移転日の前日におけるD社の株主資本の適正な簿価は5,000百万円、時価総額は6,000百万円、発行済み株式総数10百万株、株価600円であった。同日におけるE社の時価総額は4,000百万円、発行済み株式数5百万株、株価800円であった。
株式移転の比率はD社1株に対してF社株式1株、E社株式1株に対してF社株式1.5株である。
・F社は、増加する純資産を資本金と資本剰余金に半額ずつ計上するものとしている。

(設例2の会計処理)

・D社株式は取得企業の株式なので株主資本の適正な簿価5,000百万円で計上します。
・E社株式は、以下の計算により金額を算定します。
・まず、E社株式に割り当てられるF社株式は5百万株*1.5株=7,500千株です。
・次に、F社株式とD社株式の交換比率は1:1なので、D社株式に割り当てられるF社株式は10百万株*1株=10百万株です。よってE社株主が取得するF社の議決権比率は7,500千株/(17,500千株)=43%となります。
・この議決権比率を獲得するための株数7,500千株をD社株式数に換算すると、交換比率は1:1ですので、7,500千株に相当します。
・よって、E社株式の価値は、D社株7,500千株相当になりますので、D社の直前株価600円*7,500千株=4,500百万円となります。

仕訳は以下の通りとなります。

(借方) 子会社株式(D社分) 5,000百万円
(貸方) 資本金 4,750百万円
子会社株式(E社分) 4,500百万円
資本剰余金 4,750百万円

(2)取得企業及び被取得企業の会計処理

株式移転は取得企業の株主及び被取得企業の株主と新設会社との取引となりますので、取得会社そのもの及び被取得会社そのものは取引当事者ではありません。よって、原則として「仕訳なし」となります(細かい例外がいくつかありますが、本連載では省略します)。

仕訳なし

(3)取得企業及び被取得企業の株主の会計処理

株式交換の際の被取得企業の株主の処理に準じて処理を行います。すなわち、移転の対価は必ず株式なので、対価の面では投資継続、移転後の持ち分比率の変動を勘案して、子会社・関係会社・その他有価証券のカテゴリに変動がある場合は、投資の清算に該当する場合あり、となります。

投資の清算に該当した場合「交換損益を認識」し、該当しない場合は「仕訳なし」となります。