フィリップモリスはカナダのバイオ医薬品会社Medicago(メディカゴ)と2012年にワクチン開発のライセンス契約を結んでいる。フィリップモリスはメディカゴの株式を2008年に1500万ドルで株式を取得して以来40%程度保有している筆頭株主で、2013年には田辺三菱製薬(4508)が残りの6割の株式を取得し子会社化し、田辺三菱製薬とフィリップ・モリスによる6:4の合弁会社となった。
1847年にフィリップ・モリスという1人の男がロンドンのボンド・ストリートで小さなタバコ店を開業したことからフィリップ・モリス社の歴史が始まる。
のちに買収され創業一族の手を離れたフィリップモリス社は高級路線に切り替え、高級葉巻などでイギリス王エドワード7世の御用商人となり地盤を固め、1902年には米国法人も設立。
英国王室御用達で知名度を上げていたフィリップモリスだが、まだシェアはわずかで、その頃は米国のタバコ・トラストであるアメリカン・タバコと、それに対抗して設立された英国トラストであるインペリアル・タバコなどの独占体制下で、フィリップ・モリスはそのトラスト外の小さな存在でしかなかった。
しかし、反トラスト法(独占禁止法)によって1911年に巨大タバコ・トラストは解体されたことがフィリップモリスの転換点となった。
解体されたアメリカン・タバコの資産の一部を継承したタバコ・プロダクツ( Tobacco Products Corporation)がフィリップモリスを買収しシガレット製造ラインを増強(のちにタバコ・プロダクツから株主が交代)。
その後、マールボロが1924年に誕生し、1930年代は低価格ブランドを積極的に展開しフィリップ・モリスが旧トラスト勢からシェアを奪い続け、さらにはマールボロが1972年には世界1位の紙巻たばこの座を獲得し、その後も快進撃が続いた。
また、1978年にはL&Mの海外事業を買収し、さらにマーケットシェアを拡大させ、このようにして現在の規模のフィリップ・モリスに成長した。
近年も買収は積極的に続けており、JTなど巨額の買収で追いつこうとする競合とのシェア争いが続いている。
[著]アメリカ部、 [編]M&A Online編集部
本記事は、「アメリカ部」に掲載された記事を再編集しております。
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