ネットワーキング業界の覇者 シスコシステムズ(CSCO)

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 M&Aはシスコの成長戦略の核心であり(買収でテクノロジーを手に入れる=人材獲得である)、その戦略を支えるガイドラインはヒューレット・パッカードにならい「市場をセグメント化」し、ゼネラル・エレクトリックの方針のように「各セグメントでNo.1かNo.2になる」というものである。各セグメントにおいて未参入であったり劣勢である場合に自社開発ではなく買収を判断する。買収の多いシスコではあるが、全製品の大半は自社開発であり、その担当者に買収によって獲得した人材が多いことからも、M&Aの成果が主に人材であることを示している。IT業界の優秀な技術者を囲い込むリクルーティング戦略には成功し続けている。

 買収先企業の社員の残存率は高く、最初からCiscoに就職した人との差がほとんどないことから、M&Aにありがちな失敗である買収したら買収先の社員が離散していったという失敗がないよう人材ケアが手厚いことがデータで示されている。(被買収企業の従業員の定着率のほうが生え抜き社員より良いという場合も)

■近年の主なシスコ・システムズの買収

2006年:
約69億ドルで映像配信ネットワークのScientific-Atlanta(1959年上場)を買収

2007年:
約32億ドルで全世界220万人のユーザを抱えるWeb会議サービスのWebEx Communicationsを買収

2009年:
約30億ドルで全世界のHDビデオ会議市場等のグローバルリーダーであるTANDBERG社を買収

2012年:
約50億ドルで動画配信サービス向けソフトウエアのNDS Groupを買収

2012年:
約27億ドルでセキュリティー分野の強化のためSourcefire(2007年NASDAQ上場)を買収

2012年:
約12億ドルでクラウドネットワーキングのパイオニアMeraki(MIT出身者により2006年創業)を買収

2016年:
約14億ドルでIoTクラウドプラットフォームベンダーのジャスパー(Jasper Technologies)を買収

[著]アメリカ部、 [編]M&A Online編集部
本記事は、「アメリカ部」に掲載された記事を再編集しております。

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