新型コロナウイルス向けの新しいタイプのワクチン開発が進んでいる。東京大学医科学研究所附属国際粘膜ワクチン開発研究センターが取り組んでいるもので、鼻から噴霧してワクチンを投与する。

新型コロナウイルスは呼吸器粘膜を通って侵入する。粘膜には免疫機構があり、ウイルスの侵入を防ぐことができる。このためワクチンを鼻から噴霧で投与し、粘膜に抗体を作らせることで、感染や重症化を防ごうというものだ。

注射型のワクチンは、体内に免疫を作り出すが、呼吸器などの粘膜は無防備なためウイルスの侵入を許してしまう。これに対し、粘膜へのワクチン投与は粘膜でウイルスの侵入を防ぐことができるうえ、体内にも免疫を作り出せるという。

この研究に対しヘルスケアやエレクトロニクス、自動車など幅広い事業を展開している米国の3M(ミネソタ州)が、40万ドル(約4200万円)の助成を行うことを決めており、今後同研究のスピードアップが期待できそうだ。

3Mが総額500万ドルを助成

開発が進んでいる新型コロナウイルス向けのワクチンは飲むタイプなどもあるが、多くは注射型で、接種には注射器や保存のための冷蔵設備、さらには接種のできる医療スタッフが必要となる。これに対し鼻から吸う噴霧型ワクチンであれば、こうした問題が軽減できる。

東京大学ではウイルスの一部(ワクチン抗原)を遺伝子組み換えたんぱく質で作り、同抗原をプルラン(グルコースから成る多糖類)と混ぜ合わせることで、安全で効果的に免疫細胞に抗原を届ける技術を用いてワクチン開発を進めている。

3Mは新型コロナウイルス感染症の治療とワクチン開発に取り組んでいる世界中の主要な研究機関に対し、合計で500万ドル(約5億2500万円)の助成を行っており、今回の東京大学への助成もこの一環。同社の直近の売上高は321億ドル(約3兆3700億円)で、従業員数は9万6000人に達する。

スリーエム ジャパンのヘルスケアビジネス担当の佐々木力執行役員は「新型コロナウイルスの世界的な感染拡大と闘うための継続的な取り組みの一環として、3Mはこのウイルスに関する研究が迅速に進むように今後もサポートしていく」としている。

文:M&A Online編集部