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買収を阻止!M&Aの流れをわかりやすく描く『OL忠臣蔵』

※この記事は公開から1年以上経っています。
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企業買収に関する知識を映画で学んでしまおう、という方におススメなのが「OL忠臣蔵」だ。本作品は、自社にM&A(買収)の魔の手が伸びていることに気が付いたOL達が、ありとあらゆる手を使い陰謀を阻止するコメディドラマ。1997年に公開された。主演は坂井真紀。

出演者たちのコミカルなやり取りだけでなく、手の込んだM&Aのやり口や総会屋の登場といった、現実味を帯びた骨太な描写も楽しめる快作だ。


乗っ取りを阻止すべく立ち上がった6人のOL

あらすじ紹介

日本の中堅通販会社・オレンジハウスに、アメリカの大手通販会社のJJドリームが提携を持ち掛ける。しかし彼らはアメリカで悪名を轟かせる乗っ取り屋ーアクティビストだった。

企業買収と解体を目的としたJJドリームは、提携の第一歩としてオレンジハウスの役員に日系人の朝吹季里子(南果歩)を送り込む。

提携発表の直後にJJドリームは倒産。オレンジハウスの株価は大暴落する。それに合わせてオレンジハウスの株は買い占められ、徐々に買収が進んでいく。

乗っ取り寸前の窮地に追いやられたオレンジハウスだったが、その時、自ら会社を守るために立ち上がったのは、社内で邪険に扱われている佐倉ふぶき(坂井真紀)ら6人のOLだった。

見どころ紹介

M&Aの流れをわかりやすく解説

解体が決定しているアメリカの大企業・JJドリームのブランドを利用しオレンジハウスと提携、JJドリーム倒産・解体によるオレンジハウスの株価操作、そして買収の壁となる創業者の塩嶋(長門裕之)を役員会で追い出し、朝吹が大株主に上り詰めるまでの一連の流れを追うことによって、M&Aに知識のない人でも理解が進むストーリー展開となっている。

クライマックスの臨時株主総会には、進行側の行動を補佐する役割の”与党総会屋”の姿も。2006年5月1日施行の会社法により、今では活動が禁じられている総会屋だが、改めて株主総会には多くの利権が絡み合っていることを感じさせる。

無能な役員と痛快OLの対比

ところで、オレンジハウスの経営陣はなぜ危ない橋を渡ろうとしたのか。JJドリームとの提携の理由に「オレンジハウスを日本一にするのが夢」という個人的な感情から提携に踏み切った創業者の塩嶋。その理念に追随する役員陣だったが、いざ株価が暴落すると手のひらを返し塩嶋を解任する。そして朝吹に言われるがままリストラを進め、会社を疲弊させていく新社長の栗林(小坂一也)。どこをとっても先見の明も分析能力もない役員(男性)と、獅子奮迅するOL達(女性)の振る舞いが見事に対比されている。

終身雇用神話にパワハラ横行、20年前の職業観を振り返る

本作が公開されたのは1997年。バブル崩壊後の就職氷河期で終身雇用制の名残も見える時代が舞台となっている。 

転属間もない女性社員を襲う上司の理不尽な叱責、労働者として尊重されない働き方を強要されながらも退職できない女性社員、リストラ対象から男性社員が外される差別意識など、令和時代には消え去りつつあるパワハラ行為や、雇用に対する職業観が多く見られる。

公開翌年の98年にはフジテレビ系列でテレビドラマ「ショムニ」が放映された。時代と共に変わりゆく働き方を描く映像資料として、本作とショムニを2本立てで観るという楽しみ方もありだろう。

コメディドラマを単純に楽しむのもよし、企業買収(M&A)の入門として観るのもよし。男女共に楽しめる作品だ。なお、タイトルに「忠臣蔵」とあるが、赤穂浪士の討ち入りと関係はないのでご注意を。

文:M&A Online編集部

<作品データ>
OL忠臣蔵、1997年・日本(1時間52分)

OL忠臣蔵


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