①不動産権利証、実印及び印鑑カードの別々の保管
②不動産登記記録の定期的確認
③不正登記防止申出
④登記識別情報の失効申出
⑤売却の際の司法書士の関与
それぞれ説明すると、
①普段の生活において、不動産の不動産権利証や登記記録を確認する場面はめったにないと思います。定期的に不動産登記事項証明書を取得して権利関係の確認、不動産権利証の現物の確認をすることは大事です。盗難被害にあってからといってすぐに不動産名義が変更されてしまうわけではありませんが、被害に遭ってから日数が経過していると解決するまでに随分と労力を要する可能性が高くなります。
②権利証、実印及び印鑑カードを一緒に保管していると、まとめて盗難被害に遭います。全て登記必要書類ですので、別々に保管することで、どれか一つでも残れば被害も最小限で済みます。
③不正登記防止申出は、盗難被害に遭った場合、もしくは何らかの不正登記がされる可能性があると思った場合に、法務局に申出をすることにより、申出から3ヶ月間、対象不動産に登記申請がなされた場合、所有者に登記申請がされた旨の通知が来るという制度です。当該登記申請があった場合には通知が来るため何らかの対処をすることができます。但し当該登記申請自体が即却下となるわけではないので注意が必要です。
④登記識別情報については、失効の申し出をすることにより使えなくなります。失効の申し出をする理由に制限はありませんが、盗難被害にあった場合には真っ先に失効の申し出をするべきです。なお平成17年の不動産登記法改正以前に発行されていた登記済証は失効の申し出はできません。
⑤不動産売却時には、司法書士の関与をさせることにより、上記のような偽造による詐欺被害防止に一役買うことは間違いないでしょう。
不動産はとても高価なものです。不動産売買取引には司法書士を関与させることはもちろん、被害防止策を気に留めておくだけでも、万が一にも被害に遭うことを回避できるものと思います。
文:司法書士法人・行政書士法人 星野合同事務所 法律&税制トピックス2015.06.01より転載
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