■ベインキャピタルは大江戸温泉を上場させることに失敗したか

旅館でリートを組成した星野リゾート(詳細は過去記事で)と、観光ホテルの大江戸温泉。旅館・観光ホテルという収益性の高くない物件を抱えてのリートという点では共通しています。星野が上場した際は素直に”凄い”と思いました。ところが大江戸温泉はどうも、きな臭い感じがしています。2社の違いは何か。それはファンドの傘下に入っているかどうかです。2015年にベインキャピタルは大江戸温泉の全株式を500億円で取得しています。

ベインキャピタルはすかいらーくやドミノ・ピザに出資し、立て直しを図ったことで有名。最近では雪国まいたけを買収したことで話題になりました。

ベインキャピタルはLBO(レバレッジド・バイアウト)の雄。買収した企業に多額の借り入れをさせ、設備投資・人員削減をして業績を(一時的に)回復させた後、上場させて売却益を得る手法です(その背景を知らないで株を買った一部のお花畑投資家は、企業が背負わされた借金の肩代わりをしているようなものなのですが、それはまた別の話)。

大江戸温泉も同じ道を歩むのかと思いきや、リートという思いがけない方向へと進みました。これは予想ですが、温泉施設運営としての企業価値がどうやっても上がらず、やむなく不動産運用で価値を上げることにしたのではないでしょうか。

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■ラクに資金調達ができ、物件の取得・売却スピードが上がるリートの魅力

さて、ここで星野リゾートのビジネスモデルを振り返りましょう。

星野リゾートという旅館運営会社と、星野リゾートリート投資法人という大家さんの2つの会社が存在しています。星野リゾートリート投資法人は、全国に点在する立地は良くても不採算の旅館を探して安く買います。星野リゾートはその物件にブランド力を付与してお客さんを集め、客室稼働率を2倍、客室単価を3倍に引き上げることに成功しました。物件の資産価値が向上し、大家さんである星野リゾートリート投資法人は万々歳です。

最近になって旅館の成長性に限界を感じた星野リゾートリート投資法人は、市場から資金を集めて元々採算性の良い全国のビジネスホテルやシティホテルを買うようになりました。運営は星野リゾートが行うのではなく、既存の会社が引継ぎます。こうすることで、ポートフォリオが強固なものとなりました。