トランプの大統領選出を受け米国の長期金利は上昇に転じている。日本は日銀がマイナス金利政策を採用しているため、米金利が上昇すると日米の金利差が拡大。為替市場でドルを買って円を売る動きが加速し、円安・ドル高要因になる。日本企業による海外企業の買収が鈍くなる一方、海外企業からみた日本企業の株が割安に取得できる機会となる。米国企業による日本企業へのM&Aが増える可能性がある。
一方、長期金利の上昇でM&Aの際の資金調達コストが増加するのは、M&Aのマイナス要因となる。
トランプ氏は不動産開発会社の経営者から米国のリーダーまで上り詰めた。まさにアメリカンドリームの体現者と言える。勝利演説で「この国にアメリカンドリームを取り戻す」などと発言。米国民の起業家精神が高揚し、起業する若者が増えれば、ベンチャー企業への投資やM&Aが盛り上がりそうだ。
全体的にはM&Aにプラス要因が多いとはいえ、実際のところトランプ氏がどんな経済政策を進めるかは未知数。「米国の国益を最優先」する姿勢も鮮明で、例えばソフトバンクによる米通信会社のスプリントの買収のような、外国企業による米国の大手企業買収がやりにくくなるリスクもある。クロスボーダーのM&Aの関係者はトランプ氏の発言内容から当面、目が離せなさそうだ。
文:M&A Online編集部