2023年のM&A戦線は終盤、MBO(経営陣による買収)ラッシュの様相を呈した。しかも数千億円の巨額案件が連続した。その一つが人材サービス業界から飛び出した。
2023年のIT・ソフトウェア企業を対象にしたM&Aは、2014年からの過去10年で最多の181件(2023年12月27日現在)で、コロナ禍で同業界のM&Aが活発になった2021年の163件を抜いた。
2023年の運輸業界におけるM&Aは件数が前年比29.4%減の24件と2年ぶり、取引総額は同75.6%減の約1737億円と2年ぶりに減少した。それでも2014年以降の10年間では件数、取引総額共には2022年に次ぐ2番目と、好調を持続した。
2023年の外食・フードサービス企業を対象にしたM&Aの取引金額は2342億円(2023年12月26日現在)で前年比約3.8倍増となった。件数も23件で前年を上回った(2022年は19件)。上位3社の取引総額が大きく、全体をけん引した。
2023年の製造業におけるM&Aは件数が前年比11%増の240件で3年連続の増加となった。一方、取引総額は同約3倍の約8兆6199億円(前年は約2兆9070億円)と3年ぶりの増加となった。M&A市場が成長する中、件数は過去10年間で最多に。
小売業を対象とした2023年のM&A件数は52件と前年を14件下回った。50件台は2021年(58件)以来。コロナ禍初年の2020年77件と比べて25件の大幅ダウンとなるが、経済活動の正常化に伴い、かえって件数自体は落ち着いたともいえる。