第一生命経済研究所の試算では、プレミアムフライデーの1日あたりの経済効果は1236億円とのこと。これはあくまで中小企業を含めた全ての企業でプレミアムフライデーが導入された場合の計算で、大企業のみではその効果は135億円になるという。
ただし、先ほどのカルチュア・コンビニエンス・クラブのアンケートによれば、プレミアムフライデーの過ごし方として最も多かった回答は「家でゆっくり過ごす」(58.5%)。続いて「買い物に行く」(35.8%)、「映画を見に行く」(20.8%)という結果に。余暇の時間ができたからといって、簡単に財布の紐がゆるむことはないようだ。プレミアムフライデー商戦として、さまざまなサービスや商品、キャンペーンが登場しているが、導入企業が増えていかないことには、消費マインドを突き動かすまでには至らない。
<プレミアムフライデーのサービス例>
サントリーホールディングス | 全国1,100店の「プレミアム超達人店」で新しい「ザ・プレミアム・モルツ」生ビールが1杯無料 |
伊勢丹新宿本店 | 定額で複数の飲食店を食べ歩き・飲み歩きできる「週末めぐらナイト」を企画 |
日本旅行 | 金曜日午後出発す国内・海外旅行商品を用意。プレミアムフライデー限定割引クーポンを配布 |
串カツ田中 | 開店時間を2時間ほど前倒して午後3時から営業 |
アマゾン | 「プレミアムフライデーストア」をオープン。プライム会員向けに「特選タイムセール」も開催 |
とはいえ、ある程度のまとまった時間が必要な「旅行」に関しては、今後の消費が伸びていく可能性は大いに期待できるだろう。みずほ総合研究所は、博報堂行動デザイン研究所やDeNAトラベルなどが行った複数のアンケート調査結果でプレミアムフライデーにしたいことに「旅行」が上位にランクインしていることから、「旅行」への支出増加が見込まれると分析。その旅行消費押し上げ額を、プレミアムフライデーがあまり普及しなかった場合は2195億~2637億円、普及が進んだ場合は4975億~5976億円と試算した。旅行は単価が比較的高いので、機会が増える事で消費を押し上げる大きな効果が見込まれる。さらにそこへ近年のコト消費の波が追い風となって、週末の国内旅行や近郊のアジア地域への旅行はより活性化していくことが予想される。特にゴールデンウィークにつながる4月末のプレミアムフライデーは盛り上がりそうだ。
兎にも角にも、プレミアムフライデーは制度の定着化が最重要課題といえる。数年前の「ゆう活」の二の舞にならないことを願いつつ、今後の動向を見守りたい。
文・M&A Online編集部