成果の最適分配とは「成果を誰にどれだけ分配するか」という問題

次に、成果の最適分配について考えてみよう。最適分配の問題とは、株式会社に関して言えば、得られた成果(利益)を誰にどのように分配するか、という問題である。これについての会社法の回答は極めてシンプルだ。利益はすべて、株主のものである。

会社法105条に規定された剰余金の配当権、残余財産分配権、そして1株1議決権。これらはすべて「会社の利益は100%株主のものである」ことを明確に定義している。法律で決まっているのだ。議論の余地はない。株式会社とは、「株主の利益を最大化」するために、前述した「経営資源の最適配分」を行い、株主利益の最大化を実現するための組織である。

※尚、利益には法人税が課税されるが、本稿では趣旨を簡潔にするため法人税は考察の対象外としている。

例えば、得られた成果は賃金で社員にも分配すべき、という議論がある。これは残念ながら制度論的には論理が矛盾している。賃金を誰にどのくらい支払らうべきかというのは、会社法の観点でいうならば、「使用人の労働力」という経営資源をどの領域にどのくらい投下するべきか、という「経営資源の最適配分(投資)」の問題である。「成果(利益)の最適分配」の問題ではない。問題を混同しているのだ。

株式会社は、「最小のコストで最大の成果」を上げることを目的として制度化された仕組みだ。得られるリターンが同じならば投下されるコストは少なければ少ないほど良い。残念ながら同じ成果を生む労働力なら、コストは安ければ安いほど良いのだ。

数年前に話題になったトマ・ピケティ氏の「21世紀の資本」という書籍がある。この本でピケティ氏は、過去200年以上において、蓄積された資本の成長率は、労働者の所得の成長率を上回っているという統計的事実を述べた(資本成長率r>国民所得の成長率g)。株式会社の仕組みが世界中に普及していることを考えれば、ある意味当然の帰結を論理的に説明したに過ぎないともいえる。