企業経営者の高齢化による後継者不足から業績好調なまま廃業する企業が後を立たない今、中小企業をメインとしたM&Aマッチングプラットホーム「Maaap」を新規開設した、株式会社Maaap代表取締役、薛 仁興(せつ・まさのり)氏にM&Aマッチングプラットホームへかける想いを聞いた。
■中小企業をメインとしたM&Aマッチングプラットフォーム「Maaap」
https://maaap.net/
株式会社Maaap 代表取締役 薛 仁興(せつ・まさのり)
■プロフィール
1974年、香川県生まれ。
会計事務所にて税務・会計及び経営コンサルタント業務に携わった後、1998年、現GMOインターネット株式会社に入社。同社の経営管理部門の構築やIPO(株式公開)準備に携わる。1999年、ネット広告子会社の現GMOアドパートナーズ株式会社を設立しIPO準備のため転籍。2000年、現東証JASDAQに設立から史上最短(364日)での上場を果たし、26歳にして上場企業史上最年少CFO(最高財務責任者)となる。上場後はCFO&COOとしてIR・M&Aなど経営全般に従事し、2002年取締役、2007年専務取締役就任。その他数社の取締役・監査役を兼務。日本CFO協会試験委員なども歴任。
2012年7月に株式会社エスネッツ(現株式会社Maaap)代表取締役就任。M&Aによるネイル事業(現在は売却)、コスト削減・ネット集客コンサル事業を経て、2019年よりM&A仲介事業を開始。企業の後継者問題などを背景に問い合わせが増加し、2020年にM&Aマッチングプラットホーム「Maaap」を新たに開始。
—M&Aマッチングプラットホーム新設にあわせて社名も一新されました。社名の由来をお聞かせください。
新社名の由来は、「M&A」(「Mergers」and 「Acquisitions」の略で「合併と買収」)、「Advisor」(助言者・忠告者)、「Partners」(仲間・協力者)の頭文字で、株式会社「Maaap」です。マッチングプラットホームの「Maaap」は、よい売り手と買い手につながりたいという想いで開設し、売却価格数百万円から1億円程度のM&Aをターゲットに想定しています。
−M&Aの仲介事業では既に素晴らしい実績をお持ちで、平均3ヶ月で成約はかなりのスピード感ですね。
宿泊業や飲食店、ネット関連など、この1年半で7件の成約実績があります。そのうち6件は仲介として、売り手側と買い手側の両方に関わらせてもらいました。これまでは事業を「買う」意識はあれども、ダメだったらやめてしまおうと「売る」ことに意識が向かないケースが往々にしてありました。そういったケースでは適切な事業価値を算定したうえで出口戦略まで話させていただきます。医療関連施設向けデジタルサイネージ設置会社のM&Aは、2019年の11月初旬に話を始めて、12月末には決済をしていました。こうした「売る」や「スピード」といったニーズの掘り起こしはまだまだできると思っています。
—具体的にはどのように話を進めていくのでしょうか?
まずは売り案件を開拓して、買い手のターゲットを絞り、提携先含めた買い手候補100社程度にノンネームシートを出します。その中で興味を持ってくださるのが20〜30社で、順次面談に入らせていただきます。まずノンネームシートで関心持ってもらえなかったら先に進めませんので、ここはちょっと面白そうだ、話を聞いてみたいと想えるよう情報の出し方を工夫しています。
—スピード感の決め手はなんでしょうか?
GMOアドパートナーズ株式会社在職時に買い手として10年以上経験しているので、バリュエーションやシナジーをイメージできるということです。売り手側は当然高く売りたいものです。そこへ会計やM&Aの知識と経験を活かしたM&A後の事業価値を算定、フェアバリューを提示して双方をマッチングしているので、双方の満足度が高くなります。仲介した6件のうち2件はM&A後も顧問契約を結ばせていただき経営支援しています。
—薛さんは企業を上場させ、史上最年少CFOとなられた後、経営者として活躍されていますね。
GMOを退職することになり、ネイルサロン3店舗をM&Aしました。実家が中華料理屋だったこともあり、店舗ビジネスには関心がありましたし、当時はホットペッパーがネット化したりと、店舗ビジネスもIT化で経営改善できると考えたからです。実際M&A時は赤字でしたが買収した翌月には黒字化させました。M&Aでうまくいく確率は10〜20%で、どう経営改善していくかなど買った後が大変です。利益を上げるには、売上を上げるか費用を下げるかの2つしか選択肢がありませんので、前職のノウハウを活用してメディアをつくったりECをやったりで4年ほど経営改善した後、売却しました。
—すでにご自身ではM&Aを買う側も売る側も経験されていて、その上で仲介事業を始めたきっかけはなんだったのでしょうか?
上場企業の社長やCFOのネットワークがあり、M&Aの相談を受けて、アドバイザーをすることがあります。2年ほど前にM&Aの買い手として名を馳せた企業がうまくいかなくなった時期に売り案件が出てきて、その相談を受けたのが直接的なきっかけですね。ちょうどその時期に、中小企業の後継者不足が社会的に認知されはじめて、2025年問題が知られるようになってきたので、時勢とも合っていました。
—M&Aで重要なことはなんでしょうか。
スピード感を持ってチャンスを掴むことです。M&Aは時間を買うと言われていますが、M&Aの進め方は経験していなければわからないものです。そこを自分たちの経験や知識でサポートし、勘所を掴んでいただきたいと思っています。成長戦略の手法のひとつとして、M&Aにチャレンジする経営者は今後さらに増えると見込んでいます。スピード感と柔軟性を持って支援できるのが私たちの強みです。
最後に繰り返しになりますが、高齢化に伴う事業承継等の様々な問題をM&Aを通じて、助言者・忠告者として、また仲間・協力者として支援を行う。これによって社会の発展へ寄与し「日本を、世界を、笑顔で元気にする」という思いが込められております。ぜひご活用ください。
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