2021年(暦年)のM&A件数(適時開示ベース)は877件と前年を28件上回り、2年ぶりに増加に転じるとともに、リーマンショック(2008年、870件)後の最多となった。コロナ禍をバネに、M&A市場は活況を取り戻した格好だ。国内案件が高水準で推移し、前年に大きく落ち込んだ海外案件も復調に向かった。
2021年11月のM&A件数は前年同月を4件下回る77件だった。前年同月比マイナスは3カ月ぶりだが、11月として過去10年で2019年(86件)、20年(81件)に続く高水準を維持。クボタはインドのトラクター大手を1406億円で買収する。
希望退職者の募集に踏み切る上場企業が年明け以降も広がっている。すでに曙ブレーキ工業、東芝機械、片倉工業など6社が計画を発表。2019年は36社が希望退職者募集を発表し、前の年のほぼ3倍に急増した。2020年も拡大基調が続くのか。
埼玉県熊谷市、国道17号線沿いのイオン熊谷店の敷地の一角に、「片倉シルク記念館」がある。片倉工業が保有していた熊谷工場の繭倉庫を活かした企業博物館だ。実は片倉工業は世界文化遺産・富岡製糸場の最後のオーナーだった。その期間は60余年にわたる。