上期の赤字幅が拡大するサマンサタバサは8期連続赤字を回避できるのか

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女性向けバッグなどの製造販売を行うサマンサタバサジャパンリミテッド<7829>が、2023年9月26日に2024年2月期第2四半期の業績の下方修正を発表しました。経常損失を1億2100万円から7億1800万円に、純損失も2億2600万円から6億2000万円にそれぞれ引き下げました。

同社は2024年2月期通期において、4億9000万円の経常利益、2億8300万円の純利益を出す計画を立てています。上期の赤字幅が膨らんだことにより、通期業績の黒字化は難航するようにも見えます。しかし、インバウンド需要の回復が見込まれるなどの理由により、当初の予想を据え置きました。

8期連続の赤字を回避できるかどうかの瀬戸際に立たされました。この記事では、以下の情報が得られます。

・サマンサタバサの業績推移
・業績不振に陥った要因

創業者の引退によって求心力を失う

サマンサタバサは「Samantha Thavasa」のブランド名で、20代女性をターゲットしたバッグの企画、販売を行っています。全盛期にはヒルトン姉妹やビヨンセなどのハリウッドセレブを広告に起用し、大々的なプロモーションを行っていました。2016年2月期に売上高が434億円となって過去最高を記録します。

しかし、2017年2月期から恒常的な赤字に悩まされるようになりました。

※決算短信より筆者作成

2019年4月12日、創業者・寺田和正氏が持株の一部を、コナカ<7494>の代表取締役・湖中謙介氏に譲渡。湖中氏は31.30%の株式を保有するサマンサタバサの筆頭株主となりました。

寺田氏はサマンサタバサの経営から身を引きました。湖中氏個人が保有していた株式は、2019年9月2日にコナカに譲渡されました。その月の18日にはサマンサタバサとコナカが資本業務提携契約を締結しています。

寺田氏は日本のセレブブームを巻き起こした立役者。ブランドを立ち上げた当初、ヒルトン姉妹はほとんど知られていない存在でした。しかし、女性が憧れと共感を同時に抱けるキャラクターとしてセレブという概念を日本に根付かせることに成功します。寺田氏はヒルトン姉妹を両親とともに説得してサマンサタバサの宣伝をする契約を取り付け、来日を主導しました。

そのプロモーションがヒットを巻き起こし、サマンサタバサの名は海外にも知れ渡るようになります。数々の雑誌を飾るようになり、ビヨンセなどの有名人もプロモーションモデルに参加しました。サマンサタバサブランドの影響力を国内外で高めたのは、寺田氏最大の功績でした。

サマンサタバサはカリスマ経営者である寺田氏への依存度が高く、経営の第一線から離れた後は求心力を失いました。

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