クリニックや病院の後継者問題にM&A活用を! ストライクとエムスリーがセミナー共催
ストライク<6196>とエムスリー<2413>は9月10日、都内で「地域医療の継続のためのM&A活用方法」と題したセミナーを共同開催。医療機関の後継者問題の現状や第三者承継の手順などを紹介した。
スギホールディングス<7649>は27日、関西を中心に調剤薬局事業を展開するI&H(兵庫県芦屋市)を子会社化すると発表した。28日にはドラッグストア大手のウエルシアホールディングス<3141>とツルハホールディングス<3391>が経営統合に向けて協議を始めると正式に発表。今年に入って調剤薬局・ドラッグストア業界のM&Aの発表は3件目。年間18件のペースで、2021年から3年間の平均6件を大きく上回る。その背景は?
スギHDが買収するI&Hは直近の売上高が2230億円、営業利益が42億6000万円、純資産が84億円。スギHDが同社株式の61.89%を8月30日に取得する予定だ。取得価額は非公表。I&Hは562店舗(2024年2月1日現在)の調剤薬局を展開するほか、介護・福祉、ヘルスケア、医師開業コンサルティングなども手がけている。
スギHDグループは関東、中部、関西、北陸、信州エリアで1703店舗(2024年1月末現在)を展開。約4000人の薬剤師と約500人の管理栄養士を擁し、調剤併設型ドラッグストアを強みとしており、買収によるシナジー効果を期待している。
今年は1月11日にファーマライズホールディングス<2796>が東名阪地域で調剤薬局を運営するGOOD AID(名古屋市。売上高31億4000万円、営業利益8100万円、純資産△5億3800万円)を完全子会社化すると発表したばかり。同業界では2カ月連続で買収があったことになる。
調剤薬局・ドラッグストア業界で上場企業による同業の買収は、それほど多くない。2021年から2023年までの3年間で上場企業による調剤薬局・ドラッグストアを対象とした買収は、2021年が5件、2022年が6件、2023年が7件と微増しているが、2ケタには到達していない。なぜここに来て同業界の再編が加速しているのか?
2021年以降の大手調剤薬局・ドラッグストアによるM&A
理由は大手調剤薬局での業績の伸び悩みだ。直近の売上高営業利益率は日本調剤が前年比0.51ポイント減の1.91%、アインホールディングスが同0.28ポイント減の4.18%、スギHDが同0.19ポイント減の4.55%と、軒並み落ち込んでいる。これは22年4月に調剤報酬が引き下げられた影響が大きい。
とりわけ300店以上を運営する大手調剤薬局では、調剤基本料が下げられたため深刻だ。スギHD、I&Hともに300店超を展開しており、調剤報酬の引き下げが再編を後押ししたと言えるだろう。高齢化が進み、政府は医療費圧縮に躍起になっている。大手調剤薬局は経営に余力があるため、一層の「狙い撃ち」も懸念されそうだ。こうした「逆風」を受けて、同業界の再編が加速していく可能性は高い。
この3年間で最も買収件数が多かったのはクオールホールディングス<3034>の6件。次いでウエルシアホールディングスの4件、ココカラファイン<3098>とスギHDの各2件の順だった。
文:M&A Online
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