会計事務所とは?税理士法人との違いや業務内容、公認会計士のM&Aでの役割を解説

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2.8 会計事務所への転職

国内にある会計事務所は、スタッフ数が9人以下の小規模会計事務所が約9割を占めています。個人事業主である事務所所長の考えが、そのまま事務所運営に色濃く反映されやすいのが特徴です。したがって、今の事務所のまま成長を目指すのか、自身は引退したり廃業に向かうか、他の組織と合併を図るのか、代表税理士の選択肢次第で、採用したい人物像も変わってきます。

コロナ禍でリモート化が進み、経理業務の多くがリモートワークで対応できるようになりました。記帳代行などは出社の必要がなくなり、地方在住者や時短勤務を希望する者も就業しやすい環境となりました。

人材不足の会計事務所(税理士事務所)は完全に売り手市場であり、再就職先、転職先として就職あっせんも活発に行われています。

また成長を目指す事務所は採用にも前向きで、税理士試験合格や将来の開業を目指す若手の就業先として大手や準大手を希望する者も少なくありません。他方、経営者が高齢の小規模会計事務所では、業務を今のまま継続するか検討する曲がり角にあるといえます。

なお採用したい人物とマッチングできないことが理由で、経営統合や事務所売却に乗り出すケースも増えています。

2.9 M&Aにおける公認会計士と税理士の役割

M&Aのプロセスにおいて、公認会計士や税理士の果たす役割は大きく、M&Aアドバイザリー会社のトップに公認会計士や税理士資格を有する者も少なくありません。例をあげると、GCA共同創業者の渡辺章博氏(フーリハン・ローキー会長、東芝取締役会議長)や東証プライムに上場するM&A仲介会社ストライクの荒井邦彦氏(創業者・代表取締役社長)などです。

公認会計士の役割

M&Aのプロセスの中で、公認会計士が特に大きな役割を果たすのは、バリュエーションと買収監査(DD)の場面においてです。また、公認会計士の幅広い知見を活かし、M&AアドバイザーやM&AコンサルタントとしてM&Aプロセス全体の支援に関与するケースも多くみられます。

バリュエーションとは、買収対象の売り手企業(事業)の価値の評価です。企業価値の評価手法にはDCF法、時価純資産法、類似会社比準法などがあり、いずれの手法でも、高度で専門的な会計知識や、事業経営に関する財務的な知識が必要になります。この評価算定は大変難しい作業で、金額が大きい案件ほど争点になりやすく、最高裁にまでもつれ込んだ事案も発生しています。

買収監査(DD)とは、買い手側が実施する売り手の実態を詳細に調査する行為で、財務、税務、法務、労務、ビジネスなど幅広い領域に及びます。このうち特に財務DDが主担当分野です。

財務DDでは、M&A対象企業(または事業)の財務面について、売り手が提出した財務諸表の検証を中心に、帳簿記録による過去の財務データに加え、DD時点での資産と負債の実質的な価値の評価や、事業計画の妥当性など将来の収益性を確認する調査を行います。この他、簿外債務の有無や財務諸表に表れない潜在的なリスクを洗い出すことも必要不可欠な作業です。

税理士の役割

税の専門家である税理士は、M&Aにおいて税務面や会計面などのリスクを抑えることが主な役割です。M&Aで売却益を得た場合、売り手個人は、所得税や住民税を納める必要があります。M&Aを実行した年度の確定申告の方法は複雑で、過少申告や申告漏れが起こりやすいといわれています。万が一会計処理の方法を誤ると納税額に問題が生じ、税務署からペナルティーを受ける可能性があります。

買い手は譲受した資産や負債などの処理方法について、税理士からアドバイスを得ることができます。また財務DDでは売り手企業の税務や財務をチェックし、簿外債務を含めた税務面のリスクを調査します。

そのほか、税理士はアドバイザリー業務も行うことができます。節税アドバイスのほか、買い手の選定やスケジュールの策定、交渉のサポートなど、M&Aアドバイザーと同様のサポートが可能です。

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