新1万円札の顔になった渋沢栄一は近代日本の経済・産業の基礎を築き、国内最初の銀行である第一国立銀行や東京商工会議所、東京証券取引所などを立ち上げた。生涯に500余りの企業・団体の設立かかわり、渋沢イズムは今日に脈々と引き継がれている。
王子は我が国の用紙発祥の地として知られ、旧王子製紙の王子工場があった。紙の博物館は1950年、その跡地に太平洋戦争の空襲で唯一焼け残った同工場電気室の建物を利用して旧王子製紙が保管していた資料をベースに開設された。当初は「製紙記念館」という、いわゆる企業の記念館だった。ところが1986年、その敷地に首都高速が建設され、王子駅を挟んだ西側の飛鳥山公園内に移設された。
1933年5月、三大製紙会社が合併して、新たに王子製紙が発足した。この合併は、大企業の時代到来を告げるものであり、製紙産業史だけでなく日本経営史全体にとっても大きな衝撃を与える出来事であった。