2022年度上半期(4-9月)に東京証券取引所に株式上場する企業のうち、国内不動産の売却を開示したのは46社(前年同期36社)だった。不動産売却は下半期に増加する傾向があり、年度では15年ぶりに100社を超える可能性も出てきた。
大手企業による資産売却が相次いでいる。財務体質の強化の一環として、さらにはコロナ後を見据えた投資拡大に向け、今後も資産売却に取り組む企業は増えそうだ。
電通グループは6月29日、電通本社ビルを少なくとも2680億円で売却する予定と発表した。11年間のリースバック契約を締結し、帳簿価格約1790億円の差額約890億円を譲渡益として2021年12月期連結決算に計上する見込み。売却後も本社の使用は継続する予定。
元徴用工の戦後補償問題で韓国の裁判所が出した日本製鉄の資産差し押さえの効力が発生し、資産売却に向けた動きが本格化している。しかし、戦後補償は膨大な資産を韓国に残して引き揚げた日本企業の問題でもある。日本企業は残留資産を補償してもらえるのか?