片倉工業は8日、MBO(経営陣による買収)で株式を非公開化すると発表した。同社の上甲亮祐社長と佐野公哉会長が折半出資する「かたくら」(東京都中央区)がTOB(株式公開買い付け)を行い、全株式の取得を目指す。買付代金は最大714億円。筆頭株主で10%超の株式を持つ香港の投資ファンド、オアシス・マネジメントはTOBに賛同している。祖業の製糸事業の縮小に伴い、不動産や医薬品、機械関連などへの事業展開を進めてきたが、非公開化を通じて一連の構造改革を加速する。
買付価格は1株につき2150円で、TOB公表前営業日の終値1831円に17.42%のプレミアムを加えた。買付予定数は3321万8878株。買付予定数の下限は所有割合66.49%に当たる2214万6000株に設定した。オアシス・マネジメントをはじめ、三井物産、損害保険ジャパン(東京都新宿区)、農林中央金庫(東京都千代田区)、大成建設が保有する株式31%余りについてはTOBへの応募が決まっている。
買付期間は11月9日~12月21日。決済の開始日は12月28日。公開買付代理人はみずほ証券。
片倉工業は1873(明治6)年に創業し、絹糸の製造をスタート。「シルクのカタクラ」と呼ばれ、近代製糸業を牽引した。1939年には官営富岡製糸場を合併。1949年から東証1部に上場している。
追記事項
2021/12/21
かたくらによる買付期間が2022年1月11日まで延長されたと発表。
2022/01/12
かたくらによるTOBが不成立に終わったと発表。