「自由放任主義」で市場経済理論を打ち立てた「国富論」だが、近年の研究でスミスの研究対象だった「自然神学」「倫理学」「法学」を含めた学問体系であったことが分かってきた。その解釈では「市場のプレーヤーが互いに倫理的な共感を持ち、法を厳守しなければ自由市場は成立しない」ことになる。「自由経済の祖」とされてきたスミスが、皮肉にもリーマン・ショックをもたらした金融業界を中心とする自由放任経済の限界を指摘する論拠として再評価されたわけだ。