常磐興産は9日、米投資会社フォートレス・インベストメント・グループによるTOB(株式公開買い付け)を受け入れると発表した。買付主体はフォートレス関連法人傘下のOntario合同会社(東京都港区)で、TOBで全株式の取得を目指す。成立後、常磐興産の東証スタンダード市場への上場は廃止となる。買付総額は最大で約139億円。
TOBは二段階で実施。初回は一般株主などから広く応募を受け付ける。買付価格は1株当たり1650円で、公表前営業日の終値1240円に対して33.06%のプレミアムを加えた。買付予定数は737万7885株で、下限は445万401株(所有割合50.67%)。下限に満たない場合は買い付けを行わない。買付期間は9月10日から10月24日までの30営業日。決済の開始日は10月31日。公開買付代理人はみずほ証券。
初回成立後の翌営業日に実施する第2回TOBでは、筆頭株主の常磐開発(福島県いわき市)、大株主の公益財団法人常磐奨学会(福島県いわき市)など、事前に応募合意を形成した株主から計140万4699株(所有割合15.99%)を1株当たり1240円で買い付ける。
常磐興産は1966年に開業した総合レジャー・リゾート施設「スパリゾートハワイアンズ」を運営する観光事業のほか、燃料商事事業、運輸業なども展開する複合企業。コロナ禍の影響を甚大に受け、「スパリゾートハワイアンズ」をはじめ老朽化した施設への設備投資が行えず、中長期的にも、少子・高齢化に伴う、観光事業でのファミリー層の減少を想定していた。多数のホテルへの投資実績を持ち、複合リゾート「フェニックス・シーガイア・リゾート」の開発・運営会社などにも投資するフォートレスの資金、知見を活用することで企業価値の向上が可能であると判断した。