富士ソフトは15日、米投資ファンドのKKRによる第2回TOB(株式公開買い付け)について、賛成の意見を表明し、株主にも応募を推奨すると発表した。KKRは第1回TOBで1株8800円としていた富士ソフト株の買付価格を9451円に引き上げ、来週にも第2回を始める。富士ソフトをめぐっては米投資ファンドのベインキャピタルが1株9450円でのTOBを対抗提案しているが、KKRはこれを1円上回る。富士ソフトは同日、ベインのTOBに対して反対意見を表明した。
ベインは富士ソフトの賛同が得られ次第、11月中下旬をめどにTOBを始めるとしてきたが、会社側の反対により前提が崩れた形だ。今後、買付価格を引き上げて買収提案を再度行うのかどうか、ベインの出方が注目される。
KKRは9月5日~11月5日に行った第1回TOBで富士ソフト株の約34%を取得した。応募契約を交わしていたシンガポール投資ファンドの3Dインベストメント・パートナーズと米投資ファンドのファラロン・キャピタル・マネジメントからの合計32.68%の株式に加え、一部の少数株主の応募があったとみられる。
KKRは第1回と同じ1株8800円で11月中旬をめどに第2回TOBを始める予定としていたが、今回、買付価格の引き上げに踏み切った。富士ソフト株の市場価格が買付価格を上回る高値圏で推移し、一般株主の応募が見込めない状況にあったのに加え、対抗するベインを超える水準を提示する必要があったためとみられる。14日の富士ソフト株の終値は9060円。
KKRは9月中旬にTOBを2段階方式に変更した経緯がある。ベインが対抗TOBの予定を公表したためで、この変更で所有割合53%余りとしていた買付予定数の下限を撤廃。そのうえで第2回TOBを実施することにした。