米投資ファンドのKKRは4日、富士ソフトに対して非公開化を目的に実施中の第2回TOB(株式公開買い付け)で、1株あたりの買付価格をこれまでの9451円から9850円に引き上げたと発表した。富士ソフトをめぐっては、米投資ファンドのベインキャピタルが会社側の同意の有無にかかわらず1株9600円で対抗TOBを実施する意向を示しているが、この買付価格を上回る。併せて、KKRは同日までとして買付期間を2月19日まで7営業日延長。第2回TOBで買付期間の延長は4度目で、買付価格の引き上げで事態の打開を狙う。
KKRは同日、関東財務局に訂正届出書を提出。買付価格引き上げの理由について、非公開化に向けためどが立たず、TOBの長期化に伴い、富士ソフトの企業価値が棄損する懸念が生じる得ることを踏まえ、「TOB成立の確度を高めるため、現在の不安定な状況を収束させることを企図した」としている。
富士ソフトの株価は9700~9800円付近で推移し、TOBで先行していたKKRばかりか、対抗TOBを予定するベインキャピタルの買付価格も上回る高値圏にあった。
KKRは富士ソフトへのTOBを2段階方針で行っており、昨年9月初めに開始した第1回TOBで約34%の株式を取得。11月20日からの第2回TOBでは買付価格を第1回分の8800円から9451円に引き上げ、TOB成立の条件とする買付予定数の下限を所有割合19.25%にあたる約1213万株に設定した。
一方、ベインキャピタルは昨年12月、KKRの第2回TOBが撤回または不成立となれば、会社側の同意がなくともTOBを始める意向を表明し、買付価格を当初の9450円から9600円に引き上げた。
KKRは今回の9850円への買付価格引き上げで第2回TOBの成立可能性が十分に高まったとしている。ただ、4日の富士ソフト株の終値は前日比190円高の9990円まで急上昇しており、なお先が見通しせない情勢にある。