米投資ファンドのKKR(コールバーグ・クラビス・ロバーツ)は6日、5日まで実施していた富士ソフトへの第1回TOB(株式公開買い付け)で、議決権ベースで33.86%の株式を取得したと発表した。
富士ソフトをめぐっては米投資ファンドのベインキャピタルが会社側の賛同を前提として、KKRを上回る価格でのTOBを11月上旬にも始める意向。ただ、KKRが3分の1超の株式を確保したことにより、ベインがTOBを実行できたとしても富士ソフトの完全子会社化は困難な情勢だ。
KKRによる買付価格は1株8800円。第1回TOBには応募契約を交わしていたシンガポール投資ファンドの3Dインベストメント・パートナーズと米投資ファンドのファラロン・キャピタル・マネジメントからの合計32.68%の株式に加え、一部の少数株主の応募があったとみられる。
KKRは9月5日に富士ソフトの非公開化を目指してTOB開始した後、9月中旬になってTOBを2段階方式に変更した経緯がある。ベインが対抗TOBの予定を公表したためで、この変更で所有割合53%余りとしていた買付予定数の下限を撤廃。数にかかわらず、応募株式のすべてを取得したうえで、第2回を実施することにした。
一方、ベインは10月11日、KKRを650円上回る1株9450円でのTOBを正式に提案。富士ソフト経営陣の賛同が得られ次第、10月下旬にもTOBを始める意向だったが、その後、開始予定時期を11月上旬に改めた。
KKRは第1回と同じ1株8800円で11月中旬をめどに第2回TOBを始める予定。富士ソフトは第1回TOBでベインよりも買付価格が低いKKRへの賛同と応募推奨を維持した。同社は現在、KKRの第2回TOBとベインが提案したTOBについていずれも賛成か反対かなどの意見を表明していない。