平時のうちに、買収者だけが行使できない差別的行使条件を付した新株予約権を、信託銀行に対して無償で発行し、当該信託銀行は、発行会社との間で、買収者登場時の株主を受益者とする信託を設定した上で、発行された新株予約権を管理する。次に、買収者登場後に、当該信託銀行は、買収者が現れた時点の株主全員に対して、管理していた新株予約権を無償で付与することになる。そして、買収者以外の株主が付与された新株予約権を行使することで、買収者の持株割合を低下させる仕組み。
平時の段階で発行した新株予約権を直接信託銀行に信託する「直接型」と一旦SPCが新株予約権を引き受けてから信託する「SPC型」とがある。
もともとSPCを活用したスキームが考えられたのは、新株予約権の行使権者を買収者以外の株主とするという差別的行使条件を定めることが株主平等原則違反となるのではないかと懸念する考え方が有力であったことによるようである。
しかしながら、企業価値研究会が、企業価値基準を満たす合理的な防衛策であれば、差別的行使条件を定めていても、株主平等原則違反とはならないという見解を示したため、その意味でSPC型を採用する必要性は低くなったといわれている。