ブラックショールズモデルと並ぶ代表的なオプション評価方法である。
オプションの権利行使期間を細分化したうえで、株価(原資産価格)を上昇・下落→上昇・下落→・・・と場合分けして将来の株価の推移を予測し、現在のオプションの価値を推定する方法である。
上昇・下落→上昇・下落→・・・と図示する様子が格子状になることから「格子モデル」、木の幹が枝葉に分かれていく様にも似ていることから「ツリーモデル」とも呼ばれている。
ブラックショールズモデルでは、理論上は権利行使満期日のみに行使できるヨーロピアンオプションの評価しか適用できないが、二項モデルでは権利行使期間中いつでも行使できるアメリカンオプションの評価にも適用できるなど拡張性が高い。
一方、ブラックショールズモデルは解析式で表現できるため表計算ソフトや関数電卓でも簡単に計算できるのに対し、二項モデルは解析式が存在せず、専用のソフトウェアが必要になる。
日本で発行されているストックオプションの多くはアメリカンタイプのものがほとんどであるため、本来は二項モデルで計算しなければならないが、ブラックショールズモデルの方が簡便であること、ストックオプション会計でブラックショールズモデルで計算してもよいとされていること、よほど複雑な設計にしない限りどちらの方法でも大差のない評価結果が得られることから、ストックオプション評価ではブラックショールズモデルが用いられることが圧倒的に多い。