「ロボット」が身近に 宅配や配膳で実用化へ

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ロボットがまた一歩、日常生活に近づいてきた。産業用ロボット大手の川崎重工業<7012>や、自動車メーカーの本田技研工業<7267>、インターネット通販などを手がける楽天グループ<4755>などの8社は、自動配送ロボットを活用した配送サービスの普及を目指す「ロボットデリバリー協会」を2022年2月18日発足させた。

配送の人手不足を解決するのが狙いで、自動配送ロボットが公道を走行するための安全基準の制定や認証の仕組みづくりに取り組むという。同じように人手不足に悩む飲食業界では、すでに自動配膳ロボットの実用化が進んでおり、導入拡大の段階に入っている。

ロボットを活用することで、人手不足の解消はもちろんのこと、人と人との接触を減らすことができるため、新型コロナウイルス感染症拡大がロボットの普及を一気に加速させそうだ。

協会参画企業は増加

ロボットデリバリー協会を立ち上げたのは川崎重工業、本田技研工業、楽天グループのほか、日本郵便(東京都千代田区)、パナソニック<6752>、ロボットベンチャーのZMP(東京都文京区)、システムインテグレータ―のTIS<3626>、自動運転ソフトウエアのティアフォー(名古屋市)の合わせて8社で、今後、同協会に参画する企業を増やしていく。

同協会は、2022年を「ロボットデリバリー元年」と位置付けており、参画する各社が実証実験などによって得られた知見を生かした安全基準や認証づくりにを経て、ロボットデリバリーサービスの早期の社会実装を目指す計画だ。

新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、宅配便の取り扱い数量が増加し、配送の担い手不足を解消する手段として、自動配送ロボットへの関心が高まっている。

政府も民間主導によるロボットデリバリーサービスの社会実装を後押しするため、低速で小型の自動配送ロボットの公道走行に関するルール策定に向け動きだしているという。

広がる飲食店のロボット配膳

飲食店などでの配膳ロボットは実験段階から普及拡大期に入った。ファミリーレストランのすかいらーくホールディングス<3197>は、2021年10月にグループの2000店に配膳ロボットの導入を決めた。

9月には、居酒屋運営のワタミ<7522>が「焼肉の和民」でも、配膳ロボットの実証実験を始めており、イタリアンレストランを展開するサイゼリヤ<7581>や、焼肉店やラーメン店を展開する物語コーポレーション<3097>も、配膳ロボットの導入を進めている。

こうした配膳ロボット導入の動きを受けて、2022年2月初めに家電や家具などの生活用品を製造するアイリスオーヤマ(仙台市)が、ソフトバンクグループ傘下のロボット会社ソフトバンクロボティクスグループ(東京都港区)と資本、業務提携を結び、中国製の配膳、運搬ロボットの共同販売に乗り出した。

アイリスオーヤマはソフトバンクロボティクス制の配膳、運搬ロボットの販売も手がけており、今後は店舗規模や使用環境、配膳容量などに合わせて両ロボットを使い分けていくという。

配送、配膳をはじめ、癒し系や介護、自動運転などロボットの出番は少なくない。ロボットが人に変わってさまざまな分野で活躍する日はそう遠くはなさそうだ。

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文:M&A Online編集部