2015年8月のM&Aによって、ネット不動産仲介として断トツの地位を確立した「ノマド(nomad)https://nomad-a.jp/」は、無店舗、直接物件見学可、といった既存の仲介業の常識を覆すサービスを「仲介手数料ゼロ」というインパクトで提供している。ノマドを運営するイタンジの代表の伊藤嘉盛氏へのインタビュー、 今回はその統合の経緯を含め、M&Aで得たこと、失敗したこと、学んだことについて伺う。
<2> イタンジ・伊藤嘉盛代表インタビュー<M&A前編>
イタンジは2015年8月にアセンシャスから不動産仲介サービスのノマドを事業買収。しかし以前から「ヘヤジンプライム」という同様のサービスを自社でも持っていた。イタンジ伊藤嘉盛氏代表インタビュー、今回はその統合の経緯を含め、M&Aで得たこと、失敗したこと、学んだことについて伺う。
―ノマドの事業を買収したのはどのような背景があったのでしょうか。
イタンジは以前「ヘヤジンプライム」というインターネット不動産仲介サービスを提供していました。しかしネット完結型仲介サービスで市場シェア2位。一方、アセンシャスが運営するノマドは業界1位の位置でした。1位と2位が合併できれば、圧倒的な存在感を示せます。そして規模の面だけでなく、それぞれの弱みを補完できる関係でもありました。
ヘヤジンプライムのサービスはシステムに強みを持っていました。実際、ノマドの参入より3年遅れをとっていましたが、猛烈な勢いで追い上げていました。ノマドの会員数が3年で約6万5000人だったのに対し、ヘヤジンプライムは8カ月で約3万5000人を達成していましたから。
しかし、問題点もありました。オペレーション面です。われわれのオペレーターは、押しが弱い傾向があったんです。だからアクセスはあってもなかなか成約に至らない。
一方のノマドというと、オペレーションが強く、システムが弱い。われわれと逆だったわけです。両方とも当時、月2~300万円の赤字を出しているという大きな問題を抱えていたので、その状況を変える必要性もあったのです。
8月の事業買収後、そこから3カ月間でシステムを増強し、10月にはヘヤジンプライムのブランドをなくして「ノマド」ブランドに統一しました。そこから両社の売上げが1ずつだったとすると、それを合わせた数字の1.5倍、つまり3になりました。利益面でいえば、赤字200万円と赤字300万円の事業を統合した結果、黒字200万円を達成しました。(続きを読む)
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取材・編集:M&A Online編集部