初代SEとSE2には廉価版と小型機という二つの顔があった。これはiPhoneが大型化を繰り返してきたため。結果として小型機となっただけで、アップルとしては廉価版の位置づけだった。
それが明確になるのは「iPhone 12 mini」の投入だ。同機は売れ行きが芳しくないモデルで生産中止もささやかれたが、アップルは引き続き13 miniを投入している。
これが実現すれば、iPhoneはタブレット端末の「iPadシリーズ」と同じモデルラインになる。すなわち高級機の「iPad Pro」、標準機の「iPad Air」、小型機の「iPad mini」そして廉価版の無印「iPad」である。おあつらえ向けに「iPad Pro」には、11インチモデルに加えて「iPhone 13 Pro Max 」に当たる大型の12.9インチモデルが存在する。
SE3が大型化することで、iPhoneシリーズ内での「立ち位置」がはっきりする。12 miniが販売不振だった理由の一つに、SEが消費者から小型機と認識されたために需要を食われたという事情もあった。12 miniは5.4インチとSE2よりも大画面ながら、重量は15g軽い133gだった。それでもSE2に小型端末志向の顧客を奪われたのだ。
ましてや13 miniは重量が140gと、SE2との差はわずか8gに縮まった。SE3が200g近いXRのボディーを流用すれば、小型機は「mini」一択となり需要の「共食い」は起こらない。
iPadシリーズでもminiは第5世代まで鳴かず飛ばずで何度も「廃盤」のうわさが流れたが、今年9月に発表した「iPad mini(第6世代)」では大ヒット商品となり、現在も品薄状態が続く。端末の大画面化で、使い回しの良い小型機の需要は確実に増えている。その成長市場に廉価版が居座られては困る。SE3の大型化は必然なのだ。
文:M&A Online編集部
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