政府は6月16日、改正産業競争力強化法など関連6法を施行した。新型コロナウイルスの影響に伴う経済社会情勢の変化に対応し、ポストコロナの「新たな日常」に向けた事業再構築や中小企業のM&Aの円滑化などを促す。
2021年度税制改正とも連動して改正された関連6法は産業競争力強化法のほか、中小企業等経営強化法、中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律など。これらの改正案は2月5日の閣議決定を経て、6月9日の参院本会議で与党などの賛成多数で可決、成立した。
このうち、産業競争力強化法では、「新たな日常」に向けた事業再構築の計画に取り組む中堅・大企業の繰越欠損金の控除上限を50%から最大100%に引き上げる(中小企業は従前から100%控除可)。財政投融資を原資とした低利融資も認める。
中小企業等経営強化法では中小企業の事業・規模の拡大を促すため、中小から中堅への成長途上にある企業群を金融支援の対象に加える。
また、事業承継に先立つデューデリジェンス(DD)などを国の経営力向上計画の対象とし、中小企業経営資源集約化(M&A)税制(M&A後のリスクに備える準備金・設備投資・雇用確保の促進)も措置する。
さらに、会社法上の株式交付制度を用いる場合は、事前認定なしで株式対価M&Aにおける株式譲渡益の課税繰延ができるようにする。株式対価M&Aに反対する買収会社の株主は、買収会社に株式の買い取りを請求できるが、事業再編計画の認定を受けた株式対価M&Aで買収会社が上場会社であるなどの一定条件を満たせば、買い取り請求を適用除外とする。
このほか、中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律では、一部株主が所在不明のため事業承継が困難となっている旨の認定を受けた中小企業者について、所在不明株主からの株式買い取りなどに必要な期間を5年から1年に大幅短縮する。
改正産業競争力強化法では、企業の環境問題対策やデジタルトランスフォーメーション(DX)への投資も減税対象になる。
上場企業のバーチャルオンリー型株主総会も特例で解禁するが、政府提出の法案条文に複数の記載ミスがあり審議が遅れた影響で、6月に集中する株主総会での適用は難しくなっている。
文:M&A Online編集部
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・産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律の一部の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令及び産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律の一部の施行期日を定める政令が閣議決定されました (METI/経済産業省)
・「産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律案」が閣議決定されました (METI/経済産業省)
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