イタンジはなぜ「仲介手数料ゼロ」でも業界から嫌われないのか? イタンジ・伊藤嘉盛代表インタビュー(3:人生編前編)

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ノマドを運営するイタンジの代表の伊藤嘉盛氏

M&Aを果敢に実行しながら革新的なサービスを生み出す伊藤代表の行動原理とはどのようなものなのか?イタンジ・伊藤嘉盛代表インタビュー、最終回となる今回は伊藤代表の波乱万丈人生に迫る。

<3>イタンジ・伊藤嘉盛代表インタビュー<人生編前編>

★経営者に大金は毒!?
  会社売却資金の使い道とは?

●最初の起業は借金1000万円で失敗に終わる

 ―ご一家が不動産業を経営してらしたということで、
  不動産業で起業するというのは小さいころから思い描かれていたんでしょうか?

 いえ、昔はミュージシャンになりたかったんです。14歳から音楽をやっていて、私はベース担当でした。大学時代になると、音楽の才能に限界感じると同時に、演奏よりも音楽を売るほうが楽しいと思うようになっていました。そこでMBAの本を読み始めて、1度起業しました。

 ―その後に大手不動産管理会社に就職されているようですが、どうしてですか?
 実は起業したものの、大失敗して1000万円くらいの借金を抱えてしまったのです。それで返済するために働かなければならないと思い就職したわけです。再び起業したのは2年後です。

 無謀でした(笑)。スキルも手元資金も資産もないのですから、家族や知人にも猛反対されました。ただ、父や兄はじめ一家がみな経営者、という環境がやはり大きいと思います。そして、資金が限られる中でも始めやすい仲介業者を選びました。

 最初に人形町に出した店は大成功でした。路面店という立地も奏功し、月に100人くらい客が来たのです。この間に大学院でファイナンスも学び直しました。

 そこで、次は日本の中心地で勝負してやる!と六本木に店を出すことにしました。六本木交差点に面したとあるビルの2階です。家賃は1店舗目の約3倍。内装費も2000万円くらいかけました。

●あわや倒産!六本木での危機を救ったものとは?

―まさに大勝負に出ましたね!
 それが大失敗で、月に4人くらいしかお客が来ない。すぐに1店舗目で出した利益を食いつぶして字に転落。そもそも薄かった資本もあと2~3カ月でつきるというところまで追い詰められました。

―どのようにその窮地から脱したのでしょうか。
 その状況を救ってくれたのがITなのです。看板で集客できないなら、インターネットで集客しようと思い立ちました。自分でSEOの手法を勉強して、Webサイトでの募集に軸足を移したのです。

 これが見事にあたって、1店舗あたりで見れば日本で有数といえるWebで集客する仲介会社になりました。そこでビジネスが発展して店舗数も増えました。

●数千万が一瞬で消える!?
 経営者の頭の使い方とは?

―そこでそのまま事業を拡大せずにその会社を売却されるという選択をされています。
なぜですか?

 ITに夢中になったからです。可能性も感じていました。そこで、仲介業の実店舗は売却してITに振り切ろうと思ったんですね。

売却を考えていたときにはイタンジをすでに設立をしていました。イタンジのサービスの営業先の不動産会社で、会社を整理したいという話をしたら、買うよ、という流れになったんです。続きを読む

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取材・編集:M&A Online編集部