銀行は斜陽産業といわれて久しい。ひと昔前は圧倒的な人気を誇った就職先としての銀行だが、採用人数が劇的に少なくなったこともあり、現在は商社やコンサルティング会社に押されている。
この記事を読んでいる方の中にも銀行は斜陽産業でもう未来はないと思っている方も多いのではないだろうか。しかし、実際に銀行に勤めていた私からみると銀行に就職するのは悪くないと感じている。
そこで今回は銀行に就職するメリットについて説明する。
銀行への就職と聞くと、激務や仕事がつまらないとのイメージが強いかもしれない。 確かに一部その通りだ。10年前までは朝7時出社 21時退勤が普通でそこから飲みに行くので家に付くのは24時を回るのが当たり前だった。
しかし現在はかなり勤務環境が整っており、営業現場の場合、8時出社で19時退勤が一般的になった。また週に一回早帰りとして17時に退勤できる。飲み会もコロナ後から劇的に減りほとんどの支店で飲み会はない。このように勤務環境はかなり改善されているので働くにはいい環境だろう。
給料も世間からみれば高い水準をキープしている。銀行の給料は世間からみればかなり恵まれているといえるだろう。入行時の給料は20万円とかなり低いが、今年から5万円程度上げるメガバンクがほとんどだ。
入行当初の給料は低いが、毎年3万円くらい毎月の給料は上がるので入行5年目くらいで年収は600万円を超える。
ここまでは基本、誰でも上がるので世間からみればかなり良い会社だろう。
そして入行6年目に最初の昇格のチャンスが来る。
無事に昇格して支店長代理になれば年収は900万円を超える。一気に300万円程度年収が上がるのだ。 そして課長やグループ長になれば年収は1000万円を超え、支店長になれば1200万円を超える。
その後、大きな店の支店長になれば1500万円、地域の支店を統括するエリア長になれば年収は2000万円程度になる。
もちろんエリア長になるのはかなり大変だが、支店長代理までは年数がかかってもほぼ全員がなれる。年収900万円もらえればかなりいい会社だと思っていただけるのではないだろうか。
メガバンクの行員であればよほど変な滞納をしていない限り、住宅ローンやクレジットカードの審査に落ちることはない。ローンの審査に落ちる人は意外と多いのでメガバンク行員ならではのメリットだろう。 また、勤めている銀行で住宅ローンを利用すれば金利の優遇を受けられるのもメリットだ。
銀行員のイメージに「出向」を思い浮かべる方も多いのではないだろうか。
確かに銀行員は50歳前後で出向するのが一般的だ。10年くらい前までは出向をすると大きく給料は下がった。しかし今は定年が65歳になり、給料の下がり方もだいぶ緩やかになっている。
役職定年は51歳であるものの、課長クラスでも出向後の年収は700万円程度は確保できる。決して高くない給料かもしれないが悪くもないだろう。
今回は銀行員の待遇について紹介した。とかく何かと言われがちな銀行員だが決して待遇は悪くない。メガバンクを中心に採用人数を大幅に減らしているので、入行するのは大変かもしれないが目指してみるのも良いだろう。
また最近はアクチュアリー(保険数理人)などの専門職の採用が増えているので、理工系の方も視野を広げてみてはいかがだろうか。
文:渡辺 智(メガバンクに11年勤務。法人営業・個人営業に従事)
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