ラーメン店の90%が値上げ「再値上げ」「再々値上げ」も

alt
写真はイメージです

値上げの外食企業数が今春の4倍に。平均の値上げ額は50円-。帝国データバンク(東京都港区)が、上場外食主要100社を対象に2022年の価格改定計画(値上げ、実施済み含む)を調べたところ、こんな結果がでた。

同調査では、2022年1月1日から10月18日までの間に、値上げした(計画を含む)企業が全体の半数を超える56社に達した。2022年1~4月までの値上げ企業は15社にとどまっていたため、半年間で約4倍に急増した計算になる。値上げ額は「30円以下」が最も多く、次いで「100円以下」、「50円以下」と続き、平均の値上げ額は50円だった。

また、業態別の値上げ状況を見ると、中華料理やラーメンチェーンなど「中華麺」業態で、90%の企業が値上げを行った一方で、「居酒屋」は値上げの割合が35%にとどまった。原材料高を理由に思い切った値上げに踏み切るラーメン店と、客足が戻らないため値上げに慎重な居酒屋との格差がくっきりと現れた格好だ。

回転ずし業界では、大手4社のうち値上げした企業と、価格を維持した企業が半々になっており、同じ業界でも対応の違いが現れてきた。「値上組」と「維持組」の格差は、異業種、同業種を問わず、今後鮮明になっていきそうだ。

関連記事はこちら
100円を維持した「はま寿司」「かっぱ寿司」安さを武器に「値上組」に攻勢
「外食」産業に他業界から熱い視線 コロナ後を見越した戦略か

高級レストランの値上げ企業はわずか17%

帝国データバンクによると、値上げに踏み切ったのは、食肉、小麦粉、原油の高騰による影響が大きかったほか、夏以降の値上げについては円安による輸入コスト上昇が響いたという。

外食産業の値上げ状況
業態別の値上げ企業の割合(同社ニュースリリースより)

値上企業の割合が最も高い90%となった「中華麺」では、低価格メニューを主力としていることから、小麦などの原材料価格や、電気、ガスなどエネルギーコストの上昇を吸収することができなかったと分析する。

一方、値上げの割合が35%にとどまった居酒屋では、慎重姿勢を崩さない企業が多かったのに加え、値上げした企業でも酒類のみの値上げや、ランチメニューなどの値上げにとどめるケースも少なくなかった。

「中華麺」業態に次いで値上げ企業の割合が高かったのは、「ファストフード」の88%、「ファミリーレストラン」の78%、「喫茶店」の75%の順で、最も割合が低かったのは「高級レストラン」の17%だった。

帝国データバンクでは、これまで値上げに慎重だった外食各社の姿勢が一転して、大幅な値上げに踏み切るケースが目立つようになってきたとしたうえで、「再値上げ、再々値上げに踏み切るケースはさらに増加する可能性が高い」としている。

文:M&A Online編集部