「まずは日産?」菅義偉政権が誕生すれば国内企業は再編ラッシュ

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安倍首相の電撃辞任発表を受けて、菅義偉官房長官が自民党総裁候補として立候補した。総裁に選ばれると、次の首相として国政の舵(かじ)取りをすることになる。注目されるのは、新たな経済政策だ。

「菅政権」の目玉となる企業再編

菅長官はマスメディア各社とのインタビューで、自らの経済政策として中小企業や地方銀行などでのM&Aを積極的に推進する方針を明らかにしている。「菅政権」が発足すれば、国内企業は企業規模拡大のための再編ラッシュを迎えることになりそうだ。

その第一弾となりそうなのが日産自動車<7201>。「中小企業でも地銀でもない日産がなぜ?」と思われるかもしれない。が、中小企業と地銀の再編には時間がかかる。とりわけ中小企業のM&Aは、新政権成立直後に急増したとしても国民の耳目を集めない。

よほどユニークな企業でない限りマスメディアも取り上げないし、ニュースになるとしたら「中小企業のM&A件数が過去最高」といった内容ぐらいだろう。そうした「数の成果」をアピールするには、最低でも1年かかる。

菅長官が首相に就任した場合、遅くとも2021年10月には衆議院議員選挙という国民の審判が待っている。そのためには経済政策の目玉となる「企業再編」で大きな成果を出したいはずだ。中小企業や地銀の再編を待っているようでは、とてもではないが間に合わない。

日産合併を中小企業再編の「呼び水」に

そこで、日産だ。経営危機の真っ只中にあり親会社の仏ルノーからいつ手を切られるか分からない日産の救済合併を実現し、全国的な企業再編の呼び水にすることで「菅政権」の経済政策をアピールするのが最も手っ取り早い。

日産の合併となれば、国民どころか世界中から注目されるだろう。しかも日産が本社を置く横浜市は、菅長官の選挙区でもある。

すでに水面下では、そうした動きもある。2019年12月に経済産業省が日産自動車とホンダ<7267>の経営統合を模索していたと報じられた。結局、経産省の統合案は両社の取締役会で検討される前の段階で両社に拒否されている。

しかし首相の肝いり案件となれば、日産株をルノーから取得するための公的資金の投入などと引き換えに両社の合併案が再浮上する可能性はある。

さらには日本政策投資銀行が5月に日産への融資を決めた1800億円のうち、1300億円に政府保証がついていたことが判明。万一、返済が滞った場合は、その8割に当たる約1000億円を国が負担するという。政府としても、日産の経営危機に無関心ではいられなくなった。

「菅政権」が誕生したら、日産を核とする「自動車再編劇」が急展開しそうな雲行きとなっている。

文:M&A Online編集部