公認会計士になるための「勉強法」というのは、人それぞれである。本コラムでは、31歳で働きながら公認会計士を目指した筆者の独断と偏見による試験合格に役立つ勉強法を書いていきたい。
前回の記事では、短答式試験と論文式試験それぞれの特徴、及び、時間管理(タイムマネジメント)が重要であるということについて解説した。時間管理が重要であるということは、試験本番だけでなく、普段の勉強においても、勉強時間の時間管理が重要であるということである。
総合力が問われる会計士試験では、苦手科目を作らないことが最短の方法である。では、どのような勉強時間の時間管理が有効だろうか。会計士試験は科目の数が多く、その分野が多岐にわたることは、前回までの記事で解説した。そのような特徴があるため、勉強時間も偏りなく配分することが有効になる。
勉強時間の配分としては、「毎日少しずつ、全ての科目を勉強するのがよい」と言われている。誰でも自分の得意な科目をたくさん勉強してしまうだろう。筆者にもそういう傾向があった。
しかし、会計士試験は、得意な科目の点数を伸ばすことが最良の戦略とはならない試験である。苦手科目を無くすことが合格への最短の道とされているため、苦手な科目に多くの時間を割き、それが苦手科目にならないようにするのが最良の戦略となる。
直前期は、知識の定着としてのアウトプットが中心となるが、やはり、毎日、全ての科目をまわす方法がよいと言われている。筆者も直前期は、この方法で勉強することができた。
論文式試験は、実質6科目の試験である。筆者は直前期、1日1科目当たり、約2時間の時間を割いていた。2時間×6科目=12時間、を目安に毎日時間配分をしていた。当時は自習室で勉強していたが、毎日朝10時に自習室に行き、夜中12時頃までいたので、休憩時間を取っても、12時間くらいは勉強していたと思う。
では、短答式試験に特化した勉強はいつ始めるのが良いだろうか。
前々回の記事でもご紹介した通り、「まずは短答式試験の合格を目指す」という戦略でなければ、短答式試験の直前、どこかのタイミングで短答式試験に特化した勉強に切り替えるタイミングがある。もちろん、短答式試験に特化した勉強をしないという選択肢もあるが、ほとんどの受験生は、短答式試験の直前期の一定期間は、短答式試験に特化した勉強をする。短答式試験と論文式試験で使う知識は同じかもしれないが、短答式試験はマークシート方式であるため、ある程度の試験テクニックというものも存在するからである。
短答式試験は、論文式試験より科目数が少ないこともあり、短答式試験を免除されている受験生と論文式試験で戦わなければならない短答式試験の受験生は、当然、不利な状況である。短答式試験の勉強をしている間も、短答式試験免除の受験生は、論文式試験に向けた勉強をずっとできるからである。
短答式試験に特化した勉強に切り替えるタイミングの判断は人それぞれであるが、多くの人が、1ケ月前~3ケ月前に切り替えるのではないだろうか。
このように、勉強方法や時間配分などを戦略的に行うことにより、短期合格を目指すことができるので、頑張って欲しい。
筆者の場合、「まずは短答式試験の合格を目指す」という戦略を取らなかった。そのため、筆者は短答式試験に4度不合格になっており、5度目の受験で短答式試験に合格した。合格した短答式試験は5月の試験で、その同じ年の8月の論文式試験に合格した。従って、論文式試験は1度しか受験していない。
筆者の戦略が正しかったかどうかは、わからない。「まずは短答式試験の合格を目指す」という戦略を取っていたら、もっと早く合格していたかもしれない。
短答式試験に合格した年も、短答式試験に特化した勉強に切り替えたのは、4月に入ってからだったと記憶している。4月上旬から5月下旬の短答式試験まで、約2ヶ月間は、短答式試験に向けた勉強だけを行った。
文:細田 聖子(公認会計士・税理士)