「気温も暑いがサラリーマンの懐も温かい」ボーナス増加率過去最高

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4年ぶりのボーナス増加で景気は上向く?(写真はイメージ)

「気温も暑いが、サラリーマンの懐もホッカホカ」。大企業の今夏のボーナスが4年ぶりに増加したことが、日本経済団体連合会(経団連)の調査で明らかになった。それによると経団連加盟企業のうち105社の夏季賞与・一時金妥結額(1次集計)総平均は前年夏季比13.81%増の92万9259円。増加率は現行方式で統計を取り始めた1981年以来、最高となっている。

製造業主導でボーナスが増額

経団連の調査では夏のボーナスは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行前の2019年から3年連続で減少しており、コロナ禍からの経済回復を受けてV字回復となった。経団連が先に発表した2022年春闘(1次集計)でも大企業の定期昇給とベースアップを併せた賃上げ率は2.27%増と4年ぶりに前年を上回っており、大企業サラリーマンの所得は上昇傾向にある。

今夏ボーナスでの増加率は製造業が15.11%増と高く、非製造業の6.99%増の2倍以上の伸びとなった。これは需要の急増に伴う販売価格の回復で、製造業の利益率が上昇したためとみられる、一方、非製造業では価格や料金の上昇が進まない上に、製造業以上に人手不足が深刻で売上を伸ばせないなどの要因もあって十分な利益が出せず、ボーナスの伸び率が抑えられたようだ。

業種別の増減率では鉄鋼(101万9071円)の88.13%増が最も高く、次いで自動車(93万3744円)が17.23%増、非鉄・金属(89万7498円)の17.11%増の順。一方、マイナスに転じたのは、資材高の影響を強く受けた建設(127万1661円)の1.14%減と紙・パルプ(69万2242円)の0.87%減だった。

2022年夏季賞与・一時金 大手企業業種別妥結状況(経団連ホームページより)

一方、中小企業でも賃上げの動きが出ている。2022年4月に日本商工会議所と東京商工会議所が中小企業を対象に実施した最低賃金に関する調査によると、今年度に最低賃金を「引き上げるべきだ」と回答した企業の割合が前年調査より13.6ポイント増の41.7%だったのに対し、「現状維持」もしくは「引き下げるべきだ」と回答した企業の割合は16.7%減の39.9%と、引き上げ派が逆転した。

大手に追随して中小企業でも夏のボーナスを増額する動きが出れば、個人消費も盛り返す。夏以降の国内景気にも良い影響を与えるだろう。インフレのマイナス材料を吹き飛ばすパワーがあるのか、これからの経済指標に注目したい。

文:M&A Online編集部

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