意外と知らない?「ドンキ」「ヤフー」「磯丸水産」の親会社名

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意外と知られていない「ドンキ」の親会社名(ドン・キホーテ 池袋駅西口店)

「一体何をやっている会社なのか?」と、戸惑う社名が増えている。とりわけ持ち株会社にその傾向が強い。傘下の事業会社名を聞いて、「あの有名企業の親会社なのか!」と驚くこともしばしばだ。なぜ、持ち株会社の社名は「分かりにくい」のか。

M&Aが活発な持ち株会社は社名が「意外」

パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス<7532>と聞いて、ぴんと来る人は少ないだろう。海運業か貿易業に関連しているような社名だが、実はディスカウントストアを全国展開するドン・キホーテの親会社だ。

最近は知名度が上がったがZホールディングス<4689>も、どこの親会社なのか分かりにくい社名の一つ。前身はソフトバンクグループ<9984>系のヤフーで、現在同社はZホールディングスの子会社になっている。

子会社名から親会社がほとんど連想できない業界もある。その代表的な業界が居酒屋チェーンだ。「磯丸水産」を傘下(孫会社)に持つクリエイト・レストランツ・ホールディングス<3387>や「牛角」の親会社であるレインズインターナショナル(横浜市)、「長崎ちゃんめん」を運営するジー・テイスト<2694>など、枚挙にいとまがない。

こうした持ち株会社の共通点は、早くからM&Aを積極的に進めていることだ。パン・パシフィックは2007年にホームセンターのドイトとスーパーの長崎屋を子会社化したのを皮切りに、ディスカウントストア事業のビックワン、不動産業のジアースなどを次々と買収した。

2019年1月にユニーを完全子会社とすると、同2月に社名を「ドンキホーテホールディングス」から現社名に変更している。 要は「ドンキだけが子会社じゃない」ことをアピールするため、あえて創立以来の社名を捨てたわけだ。

Zホールディングスが社名をヤフーから変更したのも、アパレルネット通販大手のZOZO<3092>TOB株式公開買い付け)で子会社化すると発表した翌月の同10月のこと。大型買収は親会社の社名を「難解」にするきっかけになるといえそうだ。

居酒屋チェーンの親会社名が「意外」な理由

一方、クリエイト・レストランツ・ホールディングスは、会社設立2年後の1999年4月にヨコスカ・ブルーイング・カンパニーからクリエイト・レストランツへ社名変更。2010年6月に持ち株会社への移行により、旧社名に持ち株会社を意味するホールディングスを追加した「旧社名維持派」だ。

その後、2012年3月にルモンデグルメ、2013年4月にイートウォークグループとSFPダイニング、2015年6月にKRフードサービス、同8月のオリエンタルランド<4661>子会社のアールシー・ジャパンなどを相次いで買収している。

数々の買収にもかかわらずパン・パシフィックやZホールディングスのように社名変更しなかった理由の一つに、「クリエイト・レストランツ」という店名のチェーンが存在しなかったことがありそうだ。

外食業界では1社で多数のチェーンブランドを展開するのは珍しくなく、初めからチェーンブランドを社名にしない企業も多い。居酒屋業界はブランドの「浮き沈み」が激しく、価格帯やコンセプトを変えて多様な業態に展開するのが経営リスクを減らす定番の手法となっている。

持ち株会社としては特定のブランドを社名とすることで、グループのイメージが狭いカテゴリーに固定されることは避けたい。それがあえて「ブランドと同じ社名を使わない」という持ち株会社の名付けにつながっているようだ。

文:M&A Online編集部