ほっかほっか亭が導入したサーチャージ、普通の値上げと何が違う

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「持ち帰り弁当にもサーチャージが!」ハークスレイ<7561>が全国にチェーン展開する「ほっかほっか亭」が8月から大阪府内の4店舗で、弁当1点につき10円(税込)を上乗せする「エネルギーサーチャージ」の試験導入を始めた。光熱費の高騰に伴う措置という。この「サーチャージ」、航空運賃では以前から知られているが、普通の値上げとは違うのか?

最初は海運で始まったサーチャージ

ほっかほっか亭は毎日新聞の取材に「食材や人件費などは企業努力でなんとか吸収するが、急騰するエネルギー価格への対応は困難になっている」と導入理由を説明している。一般に知られる航空運賃のサーチャージも同じ考え方だ。航空燃料の急騰は航空会社の努力ではいかんともし難いため、運賃とは別建てで徴収が認められている。

この燃料サーチャージを、最初に導入したのは海運業界だ。1970年代の石油ショックで原油価格が高騰すると、運送料金で燃料代が賄えないケースが当たり前に。そこで、船舶の燃料価格相場に連動したサーチャージが導入された。

航空業界に導入されたのは、意外と最近の話だ。1990年の湾岸戦争以降に原油価格が高騰したのを受けて、1997年に国際航空運送協会(IATA)が燃料サーチャージ制度を認可。2001年から導入されている。最も身近な航空運賃のサーチャージは、21世紀に入ってから課金されるようになったのだ。

普通の「値上げ」の違いは

サーチャージが一般の値上げと違うのは、値上げの根拠となる事象が消えれば課金されなくなること。ほっかほっか亭の場合、電気代やガス代などが値下がりすれば、サーチャージは0円となるはずだ。

一方、通常の値上げは外部環境が変わっても、同業者との価格競争が起こらなければ据え置かれるケースがほとんど。つまり、ほっかほっか亭弁当のサーチャージによる値上げは、光熱費の下落に伴い解消される可能性もある。

燃料以外にもサーチャージは存在する。急激な為替変動に伴う差損を荷主や乗客に転嫁する「為替変動サーチャージ」や、利用が集中する時期に課す「繁忙期サーチャージ」、紛争地域を航行する船舶や航空機の利用者に上乗せされる「戦争リスクサーチャージ」などだ。

商品の内容量を減らして価格は維持する「ステルス(見えない)値上げ」に比べれば、一般消費者にも一目で分かるサーチャージの方が「明朗」とも言える。

日常で消費する商品やサービスで、一時的な「緊急避難」として光熱費の高騰を補填(てん)するエネルギーサーチャージは定着するのか?ほっかほっか亭の全店舗で導入できるかどうかが最初の関門になりそうだ。

文:M&A Online編集部

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